第86話

 案の定、見送りに出たエレナさんとエミリーの2人から、『サリーさんの匂いがする』とからかわれ、その後、浴室で身体を洗っていたらミーナがやって来て、1回だけ相手をすることになった。


どうせだからと、彼女を抱きながら土魔法の『造作』を教え込む。


俺が1回放つ間に5回も果てたミーナだが、見事に『造作』を習得した。


ステータスをよく見ると、精神がHに、魔法耐性がIに、其々1つずつ上がっている。


少し前まで魔法が使えなかったとは思えない上昇ぶりだ。


洗えば済むのに、『余計なお時間を取らせてしまったから』と言って、自らの唇と舌で掃除をしてくれる彼女の頭を撫でながら、今日の予定を整理した。



 ミーシャとの時間を与えるために、今日はミウを家に残して、サリーだけ連れてカコ村に跳ぶ。


1回目のお湯張りをした後、サリーを城壁の仕上げに向かわせ、ダセに跳ぶ。


玄関は閉じられているのに、自室からいきなり出て来た俺に驚いたエルさんを伴い、執務室へ。


彼女をソファーに座らせ、話を始める。


「早速ですが、昨日の件についてお返事します。

熟考の末、あなたの提案を受け入れることにしました」


「本当ですか!?

有り難うございます!」


「ですが、給料の額は下げません。

毎月8000ギルお支払いします」


「え?

でも、そんなにしていただいても、そこまでの働きができるかどうか・・」


「エルさんには、『奴隷生成』の魔法を習得して貰います。

恐らくですが、この魔法を覚えれば、奴隷紋の解除も可能なのですよね?」


「はい、可能です。

ただ、先日お話した通り、私の総魔力量では習得できなかったのです」


「それについては問題ありません。

俺に何度も抱かれていれば、自然と魔力量が増えていきますから」


「ええ!?」


「特殊なスキルがあるので、中で出しても子供ができる心配もないです」


「・・・」


「あなたを抱く時期ですが、毎月の給料日で良いですか?」


「はい」


「給料日についての希望はありますか?」


「・・では、毎月この日に」


「・・分りました。

1回につき3時間。

それで如何です?」


「喜んで!」


「尚、あなたの働き次第では、特別ボーナスを出すことも検討していますが、それにはお金の方が良いですか?」


「・・いえ、こちらの方を」


「ボーナスだと、給料の3箇月分になりますが、それでも?」


「・・分割で頂くことは可能でしょうか?」


「う~ん、俺も何かと忙しい時が多いので・・金貨2枚と2回分。

それで如何です?」


「はい、有り難うございます!」


「魔法を学ぶための教材は、手元にはありませんよね?」


「ありません。

捕まった時、部屋の所持品も一緒に没収されてしまいましたから。

ただ、ご領主様の私室の書棚には、全て揃っていると思います」


「え?

そうなのですか?」


「はい。

彼も独学で学ばれていたようですから」


「なら、それらを好きに使ってください」


「分りました」


「他の皆さんは、今どうされてますか?」


「何人かは朝食を取りに大食堂に来ましたが、残りの方はまだ寝ているかと・・」


やっと普通のベッドで眠れたのだからな。


「・・お支払いは、夜の方が良いですか?」


「別に今からでも構いません」


真っ赤になって、そう告げてくる。


「では、ベッドのある私室へ」


「・・はい」



 「・・世の中には、こんな素敵なことがあったのですね」


腕の中で、汗ばんだ身体を身じろがせ、感慨深げにそう口にするエルさん。


「これまで、人生を半分損していた気分。

ううん、今日まで我慢してきたから、この素晴らしい時間があるのですね」


「そこまで言って貰えると、(今日3人目を)頑張った甲斐があります」


今まで抱いてきた中では、恐らく魔力量が最小で、初めてでもあるエルさんを相手に、俺は細心の注意を払いながら腰を動かし続けた。


魔力循環をしながら抱いた方がエルさんのためになるから、初めの内は両手を握り締めて行っていたが、次第に快楽に耐え切れなくなった彼女は、それを振り解いて俺の背中にしがみ付いた。


そこで思い付いたのが、俺の物に魔力を集め、彼女の内部を行き来する際に、ポンプのように魔力を流し込むやり方だった。


子宮を突く度に魔力を流し、腰を引く際の摩擦で魔力を吸収する。


この時初めて、女性の愛液にも少量の魔力が宿っている事を知った。


意識しないと案外分らないものだ。


1回の往復で循環する魔力量は、エルさんの許容量の問題もあって極僅かだから、足りない分を、彼女の絶頂に合わせて子宮に流し込んだ。


意識を飛ばしてもそれを続け、疲労が蓄積してきたと感じたら、魔法で体力を回復させる。


延々とそれを約3時間、ひたすら繰り返した。


全部で10回以上は放ったと思う。


「もう少ししたら浴室で身体を洗って、他の皆を集めてくれ。

そろそろ賠償金を支払い、以後は自由に行動させてあげたいから」


「分りました」



 「お集まりいただき有り難うございます。

今からお約束の賠償金をお支払い致します。

ただ、当初の予定と異なり、全員にお支払い致します。

1人ずつこちらにいらしてください」


大食堂に集まった女性達に、そう声をかける。


歓声が上がった後、遠慮がちに1人1人俺の前にやって来る。


その場で金貨の枚数を確認して貰い、それが済むと、あらかじめ用意した皮の小袋に入れて渡してやる。


「以後、皆さんは自由に行動していただいて構いません。

ここから出て行かれるも良し、新たな滞在先が決まるまで、まだここで暮らすも良し。

最大で1週間までここを皆さんに解放しますが、それ以後は私の仕事に差し支えるので、申し訳ありませんがお引き取りいただきます。

屋敷から出て行かれる場合には、必ずエルさんに伝えてからにしてください」


俺の隣に並ぶ彼女が、『私です』と手を挙げて見せた。


その場で5人が屋敷を出る手続きをし、リストの該当欄に其々の名前をサインして去って行った。


その後、エルさんに留守番を頼み、一旦カコ村に跳んで2回目のお湯張りを終え、サリーの下に顔を出すと、既に城壁を完成し終えていた。


「ご苦労さん」


「修様のお陰で、それ程手間ではありませんでした。

私思うのですけど、戦争の際に修様を従軍させ、魔法部隊の女性達を毎晩抱かせれば、彼女達は毎日強力な魔法を撃ち続ける事が可能になるはずです。

勝敗がひっくり返ってもおかしくないですね」


「勘弁して」


「シャンプーの香りをさせている修様に、少し嫌味を言いたくなっただけです」


「朝も頑張ったじゃないか」


「私は回復魔法を使わないとフラフラなのに、更に2人も相手にして平気な修様を見て、少し自分に腹を立てました。

私さえしっかりしていれば、少なくとも私を抱いた当日だけは、他の女性を抱かせないのにって」


「・・済みません」


「修様に対して怒っている訳ではありません。

あなたの背中を押したのは私です。

ただ、もっと精進しようと考えただけです。

暫く戦闘をしていませんから、体がなまっているのかも」


こんな優秀な人材に、連日壁を造らせていた訳だしな。


「戦いたいの?」


「できれば」


「なら今夜、一緒にダンジョンに行く?」


「宜しいのですか!?」


凄く喜んでいる。


「ああ。

今日はもう家に送るから、簡単に何か口に入れて、訓練の時間まで休みな(寝な)よ。

夕食は他の皆だけで行って貰うから」


「有り難うございます!」


こんなに喜ぶなら、もっと早く連れて行くべきだったな。



 家に帰り、ミーシャと遊んでいたミウに夕食の事を頼んで、再びダセに戻る。


エルさんを連れ出し、町内を歩いて、アイテムボックスを持たない彼女の代わりに必要な物を買ってやる。


真っ先に服屋に行き、ミウが買って来た簡易な衣類から着替えられるよう、女性の美しさを際立たせる服や下着を数点ずつ購入してあげた。


靴屋にも寄って、同様に2足買い、後はエルさんが寄りたい店を梯子はしごして回る。


「こんなに買っていただいて、本当に宜しいのですか?」


「支度金の代わりです。

領主補佐官として、恥ずかしくない恰好をして貰いますから」


「頑張ります」


そう胸を張るエルさんを見つめると、既に『奴隷生成』の魔法を習得している。


彼女が言った通り、単に魔力量が足りなかっただけなんだな。

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