第41話

 結局、エミリーのお誘いに乗り、孤児院の子供達と一緒に昼食を取った。


修道院が運営しているだけあって、皆よくしつけられていて、食事中に無駄におしゃべりしているは1人もいなかったが、唯一の男性である俺には興味があったらしく、時折視線を感じた。


俺は皆のためにギルドで捌いて貰ったハイオークの肉を提供し、その他にも買い置きしていた果物を大量に出して、彼女達を楽しませた。


嬉しそうに食べていた孤児達の様子を見て、俺自身も心が温かくなる。


無闇矢鱈に他者に施すことは好きではないが、未だ人の手を借りねば生きていくのが難しい子供達には、少なくとも親のいない彼女達には、自立を妨げない範囲で何かしてあげたい。


そんな俺の考えを読んだのか、隣に座るエミリーが、食事中ずっと微笑んでいた。



 修道院を去る前に、エミリーに、ハイオークの肉を10キロ分渡す。


冷蔵設備がなければ、そんなに沢山渡しても困るだろうから、このくらいで良い。


今後はギルドに魔物を買い取って貰う際、ここに配る用に、捌いた肉も分けて貰うつもりでいる。


エレナさんとの訓練にはまだ間があるので、市場に寄って色々と買い物をした。




 「修君、お待たせ」


ギルドから出て来たエレナさんが、彼女を待っていた俺と極自然に腕を組む。


『冒険者の胃袋』でも親しげに顔を寄せて話しかけてくる彼女を見て、マーサさんが終始ニヤニヤしていた。


エレナさんの部屋に着くと、両腕を首に回されて、濃厚なキスをされる。


「以前は何とも感じなかったのに、最近は独りで帰るのが寂しいと思うようになった。

何でか分る?」


至近距離で見つめられ、未だ唾液の糸が互いの唇にかった状態で、そう囁かれる。


「・・分りません」


再びキスをされ、先程よりもより丹念に、口内を彼女の舌で嬲られる。


吐息と共に送り込まれる、彼女の甘い唾液にくらくらする。


「今日から訓練はお風呂でしましょう。

時間が勿体無いわ」


考えることは皆同じなのか、少しでも効率よく過ごすため、俺の手を引いて浴室の前まで来ると、彼女は徐に衣服を脱ぎ始める。


水色のブラに窮屈そうに押し込められていた胸が開放され、柔らかくて重そうな乳房が揺れ動く。


ショーツを取り除く様を、服を着たままぼけっと眺めていた俺に焦れたエレナさんが、視線だけで『早く脱いで』と急かせてきた。


先に全裸になった彼女が、バスタブになみなみと水を張り始める。


これ以上彼女を待たせないため、急いで服を脱いだ俺がそれを湯に変えていく。


かけ湯をして湯に浸かれば、俺の膝の上に跨ったエレナさんが、両手を繋いでくる。


絡め合った指と掌を通して、じんわりと魔力がお互いの身体を循環し始めた。



 「私、もうファイアウォールを使うことができるかも」


途中で、エミリーがしたように激しく身体を擦り合わせはしたものの、2時間に及ぶ訓練の後で、エレナさんは満足そうにそう言った。


今の彼女は、バスタブから出て髪を洗っている最中だ。


この世界にもシャンプーや歯磨粉は存在した。


神殿にある女神像がそのレシピを齎したらしく、自然から得られる材料のみを用いて、向こうの世界とは少し異なる製品が製造され、売られている。


それなりの値段がするから、誰もが買えるという訳ではないらしいが。


「訓練の成果が出てきているようで、俺も嬉しいです」


両手だけでなく、全身に近い素肌を合わせて行うから、通常の訓練よりもかなり効率が良いのだろう。


それに加えて、俺から流れる魔力量が相当多い。


その分、与えられる快楽も非常に大きいのだが、エミリーやエレナさんは、1回の発作でなんとか耐えていた。


「修君が私を抱いてくれるようになったら、きっともっと凄い速度で魔力が増えるわよ?

魔力量の高い男性の精液には、凄く濃い魔力が含まれているらしいの。

だから、人型の雌の魔物は好んでそういう男性をさらって、干からびるまで相手をさせるみたい。

そして行為ができなくなると、その場で食べられてしまうそうよ」


腕を動かして髪を洗う度、エレナさんの大きな胸が、ゆさゆさと揺れる。


「何だか蟷螂の雄みたいで、人間の男性は哀れですね」


「修君も十分に気を付けてね。

高位の魔物には、人型の女性が多いそうだから」


「頑張って強くなりますね。

エレナさんや、他の仲間をしっかりと守れるように。

どんな依頼からも、必ず無事にエレナさんの下に帰って来られるように」


「・・こちらにいらっしゃい。

髪を洗ってあげる」


素直に従うと、正面にしゃがんだ彼女が、俺の頭に優しく湯を掛け始める。


シャンプーごしの彼女の指使いが心地良く、目を閉じてその感触を堪能していると、再び湯を何度か掛けられて、最後に『はいお仕舞い』とばかりにキスをされる。


何処でスイッチが入ったのか分らないが、しっかりと抱き締められて行われたそのキスは、随分と長く続けられた。

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