第一試合 鳴花ヒメ視点

『あなたのロールはインポスターです。』

『役職はクリーナーです。』


ヒメちゃんは、クリーナー。

いきなり人外しかも殺す役職を引いてしまった。


ヒメちゃんにつとまるかな?いつもミコトにポンコツって言われるから少し心配だなあ?


『あなたの味方はアベルーニ、アイです。』


なるほど。ヒメちゃんの味方はアベルーニくんとアイちゃんか。アベルーニくんは元々支配人になる人だったから強いよね?……多分。

が、ガバが多いとか言ってた気がするけど、大丈夫なはず。


『ゲームが始まります。スポーン場所を選んでください。』


アリアルさんの声がしたと思うとヒメちゃんの目の前に三つの選択肢が出てきた。


『キッチン』『アーカイブ』『メイン』


うーんリスポーン場所かぁ。マップもまだ見てないし、とりあえず真ん中っぽいメインにしようかな?

メインを選ぶとヒメの体の光が増し、ワープした。

ワープ先にはセイカさんと茜さんがいた。


ーメイン


あ、声が出ない最初と同じで本当に喋れない。

とりあえずマップを見ようかな。

なるほど、このボタンでサボタージュ、このボタンでキルかな‥?

セイカさんも茜さんも立ち止まってる。多分マップ確認してるんだろうな。マップ見ながらも動けるみたいなんだけど、とりあえず立ち止まって確認するよね。

あ、茜さん行っちゃった。キルクールも開けたし、セイカさん、やっちゃう…?いや、でも、茜さんに見られてたしさすが危険かな?


そんなことを考えてると船内にボタンの音が響いた。


『東北ずん子による召集ボタンが押されました。』

『死亡者は一名。』

『東北イタコです。』

『皆さんをミーティングルームにワープさせます。』

『それでは、会議スタートです。』

『会議時間は120秒です。』


え?召集?

なんで?まだ何も起きてないよね??


「え?イタコ姉様…??」

「嘘…姉様、死んじゃったの…?」


混乱してる姉妹を横目にアベルーニは言う。


「これ、なんのボタンですか。死体消しにしか見えないなあ?」

「死体消しってなんですか?」


人が1人死んでるのにアベルーニくんは普段通りっぽい。ていうかほとんど皆んな普通っぽい。姉妹の2人もショックは受けてても悲しむそぶりはないし?


『あぁ。言いそびれていました。このゲームをする際は人が死ぬ、もしくは殺すそして自分が死ぬことになんの違和感も恐怖感もなくなります。』

『まぁ、実際に死ぬわけじゃないですからね。』


なるほど、そういうことか。

で今回の死体はヒメちゃんは何もしてないから、アベルーニくん、アイちゃん、もしくはジャッカルのキル。


「あぁ、死体消しはね、人を殺してすぐにボタンを押すことで死体の場所見つけさせないっていうやつだよ。」

「私殺してなんかいません!」


アベルーニくんが説明をし終わったらずん子さんが声を荒げて言った。


「それは私が保証できます。私と同じ場所にずん子さん、アイさん、タカハシさんの4人でスポーンしましたが、私とずん子さんはこのターン中ずっと見える位置にいました。」

「そうか、それなら大丈夫だね。」


まずい。会議の進め方が全然わからない…。


「これ、イタコさんを見た人はいないんですか?」


セイカさんが全体に向かって問いかける。

でも、誰も返事をしなかった。場が静まり返ってしまった。


「誰もいないなら、1人でリスポーンした人が怪しいんじゃないかな?」

「あ、そっか。ヒメちゃんは茜さんとセイカさんがいたね。セイカさんはずっと見えていたよ。」

「うん。茜さんは最後離れて見えなくなったけど、殺す時間はないと思うよ。見えなくなって3秒あるかくらいの時間だったし。後ろから私たちが来る可能性もあったわけだし。」

「キッチンには4人くらいいたかな?」

「うん、私とミコトさんときりたんさんとコウさんがいたと思う。」

「きりたんでいいですよ。」

「じゃあ、きりたん。この4人はみんなでハンバーガーを作るタスクをしていたと思うよ。」

「そこに固まってましたもんね。」

「ボクは貨物室で1人だった。」

「私もアーカイブに1人でした。」

「私もエンジンに1人だったよ。」


アベルーニくんとゆかりさんと葵さんがグレー位置。

うん?これグレーが3人だったら…。


「これ、1人でいた人のうちの誰かをシェリフで打って、残りの2人を追放したら確実に1人追放できるんじゃないかな?」


やっぱりそうなるよね?

セイカさんが的確な推理をしてる‥。どうしようこのままだったらアベルーニくんが追放されちゃう…!


「いや、宿舎で湧いたタカハシくんとアイも可能性はあるよ。少しだけどね。」


アイちゃんが自分も犠牲に助け舟を出してくれた!

追放の候補は5人。これは流石に誰も追放できない。スキップだね。


「いや、アイちゃんは少し間を開けてだけど私とずん子さんの後ろからハシゴを上がってきていたし、ほとんど無理だと思う。」


しかもアイちゃんの方には白が出された!

これはひょっとしていい感じなのでは?


「うん。確かにボクもできる可能性はあるね。」

「そっか、候補が4人になったなら流石に追放できないな。候補の4人に灰色つけて今回はスキップにする?」

「それがいいんじゃないかな?」



『会議時間が終了しました。』

『投票の結果、スキップになりました。』

『パン屋が美味しいパンを焼き上げました。』


『リスポーン位置を選択してください。』

『エンジン』『メイン』『アーカイブ』


今回はどうしよう、エンジンに行ってみようかな?


ーエンジン


エンジンを選択するとまたワープされた。

ワープした先にはタカハシくんがいた。

ヒメちゃん前ターンじゃ何もできなかったし、今回は人を殺したりしたいな。

タカハシくんがタスクのある場所へ歩いていく。ヒメちゃんもそれについていってタスクのフリをする。

キルクールが開けた。どうしよう?やる?

…いや、ここはヒメちゃんの白証明をしてもらった方がいいはず。さっきと思ってることが違うけど、まあ、人を殺すのはいい気がしないし、それでいいよね?

しばらくエンジンでタカハシくんといるとタカハシくんが移動し始めた。

ヒメちゃんは少しだけ時間をずらしてタカハシくんについていく。

宿舎前のタスクをしにいったみたい。ヒメちゃんは少し離れて金庫室に入ってみようかな?

あ、アベルーニくんとアイちゃんだ。

2人とすれ違い金庫室に入ると二つの死体が転がっていた。茜さんとコウ先生だ。

とりあえず…コウ先生の死体でも消しとこうかな。

ダブルキルじゃないなら2人でいるところは怪しまれにくいはずだし。

コウ先生の死体を消してタカハシくんと合流して一旦ミーティングルームに入ってタスクをした。

これだけタカハシくんといたらヒメちゃんはほとんど白でしょ?

そんなことを思いながらタカハシくんとミーティングを出て金庫室に入ったところで2人で死体を見つけた。


船内にボタンの音が響く


『タカハシにより死体が発見されました。』

『発見されたのは琴乃葉茜の死体です。』

『他に死亡者はは京町セイカです。』

『このターンに死亡したのは2人です。』

『会議時間は120秒。』

『それでは会議を開始してください。』


「え?2人も死んだんですか?」

「いや違う3人だコウさんもいない。」

「死体、消されたってこと?」

「そういうことだと思う。」


コウ先生の死体が報告されなかった事にクルーが混乱しているね。

本当は茜さんの隣にあったんだけど誰もわからないからね。

これは美味しい。


「僕からいいかな?死体は金庫室。宝石の前あたりで死んでいたよ。」

「ヒメちゃんも一緒に発見したよー。」


見つかった死体について報告しようとしたらミコトが声を上げた。


「ボクからいいかな?セイカさんキルの犯人はずん子さんだと思う。」

「え?」

「奇遇だねミコトさん。私もセイカさんキルの犯人はミコトさんだと思うよ。」

「えええ???」


2人以外話についていけず混乱状態。

ミコトもずん子さんもインポスターじゃないからジャッカルって事?


「ちょ、ちょっと待ってください。状況の説明をお願いします。」


焦ったようにゆかりさんが尋ねる。


「セイカさんとボクとずん子さんでキッチンにスポーンしたんだ。ほとんど一緒に行動していたんだけど、最後の最後でセイカさんとずん子さんが2人で武器庫に抜けた。で、セイカさんが死んでるってわけ。」

「私から見たら最後に武器庫に移動したのはミコトさんとセイカさんだよ。」

「あとは途中であかりさんと葵さんとすれ違ったね。」

「うん、あかりさんは武器庫側に、葵さんはセキュリティ側に抜けていってた。」

「その時はセイカさんも生きていたし、葵さんはほぼキル無理かな。あかりさんは可能性あるかもくらい。まあ、ボクからしたらほとんどずん子さんだね。」

「私もとんでもないミラクルが起きてない限りミコトさんだと思うな。」


うわ、これ完全に水掛け論じゃん…。


「じゃあこの2人はローラーですかね。」

「?ローラーって何?」

「あぁ、ローラーっていうのは二会議分使って対抗してる人2人を追放することだよ。確実に黒が1人落ちるんだ。」


「なるほど。まぁ、ボクたちは完全に水掛け論だし、追放の順番さえ決めたら他の死体を詰めようか?」

「あ、なら、ずん子さんから吊って欲しいです。会議のボタン消費してるので。ミコトさんは次のターンでボタンを押してくださいね。」

「了解したよ。」

「えぇ、私からか。仕方ないのかな…。でもちゃんとミコトさんまで追放してくださいね?」


あ、案外サクッと決まっちゃうんだ。もう少し時間を使ってくれると思ったのに。


「そっちがまとまったところで茜さんの死体とコウさんの死体の話をしてもいいかな?茜さんの死体に関してはヒメさんは無理。ていうかこのターンずっとくっついてたからキル自体厳しいと思う。」

「ヒメちゃんもタカハシくんに同じ証言が出せるよ。」


これは、タカハシくん、ヒメちゃんが一瞬離れて死体を消しにいった事に気づいていなさそう。


「で、金庫に死体だから、コックピットとかアーカイブ、エンジンの人が怪しいかな。」

「コックピットには私が1人でいます。」


あかりさんがそう宣言すると同時に会議終了時間になった。


『会議の時間が終了しました。』

『投票をしてください。』


「今回はずん子さんでいいんだよね?」

「うん。そうだよ。」


『投票が完了しました。』

『今回追放されるのは東北ずん子です。』


そう宣言されたと同時にずん子さんの足場がパカリと開いて、宇宙に投げ出された。

そんなふうに追放されるんだ…。


『リスポーン場所を選んでください。』

『宿舎前』『メイン』『貨物』


今回はメインに行こうかな。

ワープした先にはイアちゃんがいた。


ーメイン


うーんこのターンはどうしよう。とりあえずシャワーに行ってみようかな。

あ、イアちゃんは逆方向に行くんだ?まあいいか。


にしても、ミコトボタン遅くない?そんなことを思いながら移動をする。


ーシャワー


シャワーについてタスク偽装をしていると死体発見のボタンが押された。


あれ?死体発見?普通の会議じゃないの?



『イアにより死体が発見されました。』

『発見された死体はアイです。』

『死亡者は2名、アイと東北きりたんです。』

『会議時間は120秒です。』

『それでは会議を開始してください。』


えええええええええ!!!!!

アイちゃんが死んじゃったの!?味方が死んだ!


「え、何どういうこと?」


アベルーニ軍も混乱してる、珍しいことなのかな?


「…メインで湧いて、エンジンに向かったら、アイちゃんときりたんの死体を見つけたよ。そこでミコトさんが棒立ちしてた。」

「それってつまり…。」


「そうさ、セイカさんキルの犯人もアイさんキルの犯人もボクだよ。」


ミコトは、ジャッカルか。


「あぁでも、きりたんはアイちゃんが殺していたよ。」

「どういうこと?」

「さあ?どういうことだろうね?」


ミコトが言葉を濁してる。

でもこの言い方は…。


「なるほど、ミコトさんとアイちゃんは別のキル陣営ってことか。」


そうなるよね。ミコトは確定ジャッカル陣営。こんな行動をするってことはサイドキックを残してる可能性が高い。


「この会議ではミコトさんを追放しよう。それで、前回の茜さんの死体を詰めよう。」


あ、そうなっちゃうのね?


「そうだね、確か金庫に死体、それでコックピットにあかりさんがいたんだっけ?」

「そうそう、アーカイブとエンジンとコックピットにいる人が怪しいって話をしてた。」

「ボクはアーカイブにアイちゃんといたよ。」

「はい、アーカイブに2人いる表示になっていました。だから多分あってます。」


アベルーニくんの証言にあかりさんが乗った。


「エンジンには誰もいない感じ?」

「そうみたいですね。」

「じゃああかりさん決め打ちでいいんじゃないかな?」

「いや、私はシェリフなので違います。」

「え?そうなの?じゃあ吊る候補いなくない?」

「いや、アベルーニくんを吊ろう。」

「なんで!?ボクはアイちゃんといてアリバイがあるんだよ!?」


そうだ。アベルーニくんには黒どころか白が出るはず。

なのになんであかりさんはアベルーニくんを吊りたがるの?


「だって、ミコトさんの証言からするとアイちゃんはキル役職なんでしょう?それなのに一緒にいて、殺されていないし、私はシェリフを宣言した。これを考えるとアベルーニくんを吊ったほうがいいと思います!」


確かにそうだ…。やばいな、この人数でヒメちゃん1人になるのは勝ち目がかなり薄い。


「いや、待って。」


自信満々のあかりさんにイアちゃんが声を上げた。


「ミコトさんがバウンティーハンターの可能性もあるからまだ吊りは様子を見たい。それにこの人数ならあかりさんのシェリフ語りの可能性も考えられる。」

「!…そうだね。ボクがバウンティーハンターの可能性もあるわけだ。」


い、イアちゃんの助け舟!!この考え方ができるってことはイアちゃんがサイドキックの可能性はほとんどないよね。


「うーん。どっちの言い分もわかる。茜さんの件はあかりさんとアベルーニくんが最黒位置でいいかな。それから、コウ先生の件なんだけど…」


とタカハシくんが言っている途中で、ミリアルさんが話し始める。


『会議時間が終了しました。』

『みなさん、投票をしてください。』


「ふふ、どうぞ、ボクを吊っちゃって?ボクがジャッカルか、はたまたバウンティーハンターか。どうなんだろうね?まあ、どうにしろ、ボクの仲間。託したよ。」


『投票が完了しました。』

『今回追放されるのは鳴花ミコトです。』


ミコトの足元の床がパカリと開いた。ミコトが落ちていく。

…。バイバイミコト。


今生きてる人は7人


ゆかりさん

あかりさん

イアちゃん

あおいさん

アベルーニくん

タカハシくん

ヒメちゃん


あかりちゃんは多分真シェリフ。

アベルーニくんはインポスター。

イアちゃんは多分クルー。

他の人の役職が全然わからない。少なくとももう表示が出てないからパン屋は死んでいる。

ミコトが一緒がいた人の中にサイドキックがいるはず。

ミコトの証言を思い出せ。うーん、記憶が曖昧だ…。確か2回目の会議で葵さんとあかりさんとすれ違ったって言ってたような…?

ま、まあいいや。こっちはまだ味方が1人いる。

あ…。さっきの会議でアベルーニくんとあかりちゃんが対抗になった。で、あかりちゃんは真シェリフ、の可能性が高いでしょ?てことは、アベルーニくんを撃たれたらまずい!これは、祈るしかないんだけど…。アベルーニくんどうにか頑張って…。

で、このターンはまず、アベルーニくんは動けない。目をつけられてるからね。次灰色が付いたら吊られかねない。

だから、やるんだ。ヒメちゃんが。


『リスポーン場所を選んでください。』

『宿舎前』『アーカイブ』『貨物室』


ここは、貨物に行こうかな。


ー貨物室


貨物室にワープするとイアちゃんがいた。イアちゃんはアーカイブ方面に行ってしまったがそんなことは関係ない。

このターンは、バイタルをカギにする。死体消しプラスバイタル偽装ができたらヒメちゃんの白も証明されやすいし。


ー診察室


そして、次に殺す人だけど…。ヒメちゃんのことを白めに見てくれそうなタカハシくんは殺せない。イアちゃんも反対方向に行っちゃったし、ここで引き返すのはリスクがある。アベルーニくんと対抗だからあかりさんも殺せない。だから残るは、葵さんかゆかりさん。この2人のどちらかが電気室もしくは診察室に来てくれれば、勝ち目がある!

ヒメちゃんはバイタルにむかう。バイタルを確認してみると誰も死んでいない。うん、今回はアベルーニくんは誰もキルしていない。


ー電気室


電気室に入るとゆかりさんがいた。

ゆかりさん。探していたよ。

ゆかりさんが電気室の奥に入るとゆかりさんを 殺 し た 。

そしてゆかりさんの死体を消す。

ヒメちゃんが電気室の奥から出たらタカハシくんと鉢合わせた。タカハシくんも電気室の奥に来るのかな?ごめんね、ここにはもう死体はないんだ。


ー診察室


タカハシくんと一緒に電気室と診察室をぐるりと周り、バイタル前に戻ってバイタルを確認してゆかりさんが死んでることを確認した瞬間

船内にボタンの音が響いた。


『琴乃葉葵により召集ボタンが押されました。』

『発見された死体はありません。』

『会議時間は120秒です。』

『それでは会議を開始してください。』


「さっきの話をもう少し詰めたかったので押しました。それで、アベルーニさんと…」

「ちょっと待って。死体はないって言っていたけど、ゆかりさん死んでない?」

「え?あ!本当ですね、死んでる…。」

「今回の死体と前回の話どっちを詰めます?」

「うーん、1人だし、近い話だし、今回の方がいいのかな。」

「わかったよ。じゃあ、ゆかりさんを見た人はいる?」

「僕はリスポーン位置が一緒だった。そのあとゆかりさんは電気室に降りて行ったと思う。ボクはメインのタスクをしてから降りたけど電気室にはいなかったよ。」

「電気室にはヒメちゃんがいたよ。ヒメちゃんは診察室方向から来てゆかりさんとあってないから多分セキュリティの方に抜けてるよ。」

「セキュリティには私がいましたが、セキュリティ方向には来ていません。」


ヒメちゃんのセリフをあかりさんが否定する。

…これは、あかりさんいい位置にいるな。このままあかりさんを吊り切りたい。この感じなら、パッションでヒメちゃんが勝てる!




「ヒメちゃんは最初にバイタルを見た時にはすでに死んでいて、電気室でタカハシくんと合流したよ。そこから電気室と診察室をグルっと回って死体はなかった。だからセキュリティ方向にいるあかりさんがやったと考えて間違い無いんじゃないかな?それに、前の前の会議でミコトとすれ違ったって言っていたし、サイドキックにされてる可能性もあるよね。」


そう言ってあかりさんを睨む。

ヒメちゃんの証言は今まで白かっただけあってかなり信用されるはず。だから当然。


「じゃあもう、あかりさんを吊っちゃおうか。」


こうなる。


「…。待ってください。私を吊ってもいいです。でも、次の会議にしてください。今回はスキップにお願いします。」

「どうして?」

「私は、本当にシェリフです。それに、皆さんにとってもアベルーニくんは怪しいでしょう?だから。アベルーニくんをキルさせてください。そして、次の会議で私を追放してください。」


っ…。そう来るか…。

それはちょっと考えてなかった。これは、ヒメちゃんが横から首をさせない。だからアベルーニくんに全て賭ける。


「………。そうか。いいよではエンジンでボクを殺しに来てごらん。」


そうか。アベルーニくんは、撃ち合い勝負を選ぶんだね。

絶対勝ってね。アベルーニくん。


『会議時間が終了しました。』

『皆さん投票してください。』


ーーー。


『投票が完了しました。』

『投票の結果、スキップになりました。』


『リスポーン場所を選んでください。』

『宿舎前』『メイン』『アーカイブ』


メインに行こう。

エンジンへ行って、クルーにヒメちゃんが見えない範囲からみよう。

…。ずっとメインにいた事にしよう。

うわ。本当にあかりさんもアベルーニくんも棒立ちしてる。多分キルクールが開けるのを待ってるんだろうな。

あ、葵さんも来た。

もうすぐ、キルクールが開ける。



3、2、1、



ぐしゃっと音が2回響いて、エンジンにアベルーニくんと葵さんの二つの死体が転がった。


ええええええええ???


ヒメちゃんが混乱すると同時に船内にボタンの音が響いた。


『紲星あかりにより死体が発見されました。』

『他に死亡者は琴乃葉葵です。』

『会議時間は120秒です。』

『それでは会議をしてください。』


えーと、えーと?アベルーニくんが葵さんをキルしてあかりさんがアベルーニくんをキルした?

でもなんで………。

あ、そうか。ここであかりさんはどうであれ追放される。そしたら残りは3人。信用勝負…か。


「アベルーニくんはキルできたので、間違いなくキル役職です。そして、アベルーニくんが葵さんをキルしていました。」

「まぁでもどうにしろ、あかりさんは吊っておきたい。」

「そうだね、私もそう思う。」

「ヒメちゃんもあかりさんだと思う。」


生きているあかりさん以外の人が口々に言う。


「……。ここまで怪しくなっちゃったら仕方ない。私、自分に投票します。」

「そうだね。この会議は特に話すこともないかな?じゃあ速攻吊りでいいかな。」


そう言いながらみんな投票を入れる。


『全員の投票が終了しました。』

『今回追放されるのは紲星あかりです。』


あかりさんが宇宙に放り出された。

あ、これで会議終わっちゃうわけだ。ヒメちゃんは多分あと1人キルしたら勝てる。


『リスポーン位置を選んでください。』

『アーカイブ』『キッチン』『メイン』


キッチンに行こうかな。誰かいるといいんだけど。

あ、誰もいないんだ。

そんなことを思って武器庫に行く。その瞬間船内に大きな危険音が響いた。

これは…。サボタージュ。この間は会議が開けないはずだから。この間に誰か見つけて殺す。そう意気込んで歩くもなかなか見つからずにサボタージュ解除場所まで来てしまった。これは、直した方がいいかな。

そう思い昇降機をなおす。治し終えたその瞬間。


船内にボタンの音が響いた。


『イアによる召集ボタンが押されました。』

『発見されたした死体はありません。』

『会議時間は120秒です。』

『それでは会議を開始してください。』


「?どうしたの?イアちゃん?」

「タカハシくん。ヒメちゃんを吊ろう。」

「「え??」」

「ヒメちゃんがインポスターだよ。」


なんで、バレてるの?

ミコトとすれ違ったって言っていた葵さんもあかりさんも死んだ。ということは、

………これ多分、イアちゃん本当にクルーだ。だってこの生存者3人という状況でタスクが終わりそうにないなら、インポスターを吊ろうってことになるよね。このボタンそのものが白っぽい。

でも、じゃあなおさらタカハシくんに決めてもらうしかないな。

この信用勝負勝ち取った方がこのゲームの勝者だ。

ヒメちゃんを追放すればクルーの勝利、イアちゃんを追放すればインポスターの勝利。じゃあタカハシくんに最後までヒメちゃんをクルーと思ってもらおう。


「なんでヒメさん?」

「だって、私はクルーだし、タカハシさんは今までの行動が白っぽいので消去法です。」

「ヒメちゃんからするとイアちゃんだよ。サボタージュを治したらボタンを押そうと思っていたよ。」


少しでも白ポイントを稼ごう。


「…。これは、僕の投票で決まる感じかな?」

「まあ、そういうことだね。私を信用して欲しいな。」

「ヒメちゃんを信用して。だってヒメちゃんは今までかなりタカハシくんと2人でいたし、タカハシくんを殺していないよ。それに、一回も黒位置に入っていないよ。」

「うん。それはそうだね。でも私も一回も黒位置に入っていないし、私ははこのボタンを押したよ。このタイミングでボタンを押すのはクルーしかしないんじゃない?」

「それをいうために押したんじゃないの?」

「この条件下で私が人外だったら確定で吊られるんだから押すわけないでしょ。私がクルーだから押したんだよ。」

「でもヒメちゃんはサボタージュを治したよ?サボタージュを直さずに反対に回ってタカハシくんをキルしたら勝ちなのに直したんだよ?」


ヒメちゃんとイアちゃんが口論してるのをタカハシくんはじっと聞いていた。

頬には汗が伝っている。イアちゃんが言ってることもわかるんだろうな。

タカハシくんはどうするの?心臓が怖いくらいに痛い。緊張しているみたいだ。


俯いたタカハシくんの表情を見ていると不意にタカハシくんが顔を上げた。


「どっちを追放するか、決めたよ。」

「じゃあ、投票にしようか」

「ヒメちゃんとイアちゃんはお互いに投票すればいいんだよね。」

「うん。」


『投票が完了しました。』

『今回追放されるのは イ ア です。』


やった…!


「あーあ。負けちゃった。おめでとう。クルー。」


イアちゃんの足元がパカリと開いた。

イアちゃんが見えなくなった瞬間ヒメちゃんたちと死んだはずの人も全員ミーティングルームに集められた。


『ゲーム結果を報告します。』

『インポスターの勝利です。』


「「やったああああああああ!」」

「お、やったね。」


ヒメちゃんとアベルーニくんが飛び跳ねて、アイちゃんは落ち着いている。

これじゃどっちか大人かわからないよ。


「あーあ。惜しかったね、イアちゃん。」

「うん。あと一歩だった。ていうかヒメちゃんインポスターだったんだ全然わからなかったな。」

「ヒメちゃんは運が良かっただけだよー。」


「え、え、何?ヒメさんがインポスターだったの!?しかもイアさんはサイドキックだったの!?」

「そうだよタカハシ。最後の会議でスキップを選べば可能性はあったんだけど、まああの状態でインポスターとサイドキックが両方生存していること自体追いにくいし仕方ないね。」

「コウ先生…。」


最初にあったギスギスした雰囲気はなくて、みんなとても楽しそうだった。ヒメちゃんもそう。たくさん考えて楽しかったし、とっても楽しかった。


『皆さんの役職はこうなっていました。』


結月ゆかり  ークルー


紲星あかり  ーシェリフ


鳴花ヒメ   ークリーナー


鳴花ミコト  ージャッカル(主)


京町セイカ  ークルー


東北イタコ  ークルー


東北ずん子  ークルー


東北きりたん ージェスター


イア     ークルー→サイドキック→ジャッカル


アイ     ーバウンティーハンター


琴乃葉茜   ーパン屋


琴乃葉葵   ークルー


水奈瀬コウ  ークルー


アベルーニ  ーモーフィング


タカハシ   ークルー


『これにて第一試合は終了です。』

『皆様楽しめたみたいですね。』

『それでは、次のゲームもお楽しみください。』


             ーーーto be continued


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アモアス×ボイロ @kohaku_kou

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