『牛車で行こう』を読んでいます。

 この連休で読むための本を予約していたので、図書館のお正月休み明けに受け取りに行ってきました。


 今は、京樂麻帆子さんの『牛車で行こう』を読んでます。(※1)

 とっても興味深いですよ。


 鷲生が前に平安ファンタジーを書いた時に(※2)、一度手元に借りてきたことがあったのですが、拾い読みだけして返却してしまいました。

 購入してもいいなと思ったのですが、なんとなくそのままです。

 でも、今回やはり「これは買いかも」と思っているところです。


 この『牛車で行こう』の目次は、出版元のWebサイトにあります。この文章の文末にも掲載しておきます(※3)


 鷲生は今日は第三章まで読みました。


 牛車そのものだけでなく、「では、どこで乗っていたか」から、逆に「どこは徒歩でなければならなかったか」という考察があります。


 牛車は原則大内裏門の中には入れません(54頁)


「そもそも、宮城門には『伴大納言絵巻』や『年中行事絵巻』などの絵画資料に見えるように、石橋(石で作った階段)があり、車を牛にひかせたまま門内に入ることは簡単に出来ない構造になっている)」からです(54頁)


 大内裏の宮城門までは牛車で出入りしますが、そこから内部へは原則徒歩(※4)。


 その徒歩が原則の大内裏で特別な人に特別に許されるのが輦車(れんしゃ)。

 この輦車についても説明があります。


 また腰輿についても説明があります。

 これは「天皇や斎院など、輦車よりもさらに限られた身分の者が利用する乗り物であった」とのこと(66頁)


 さらに読み進めていくと、貴族への特別扱いとして、本来徒歩あるいは輦車で移動する空間である大内裏に、牛車から降りずにそのまま入っていく許可も出ます(牛車宣旨)。

 宮城門のうち上東門だけは石橋を持たない「土門」で、ここが構造上牛車で通過可能です。


 それに加え、史料では待賢門を牛車で通過したという事例が見られます。

 では「どうやって牛車は石橋のある門を通過したのであろうか」(72頁)。

 京樂さんは「車を石階の上に持ち上げて、門をくぐらせた、と考えるほかないだろう」とされています。


 次に騎馬についても触れられています。

 平安貴族は落馬もしますが、それが歴史史料に「事故」として残っているのは、普通は乗馬ができたから。


 鷲生は次回作で作中人物を比叡山をモデルとした山に昇らせようかと思っているのですが、藤原道長が比叡山に騎馬で登ろうとして投石事件に遭ったのだそうです(79頁)。

 この事件については参考文献があがっているので、ぜひ読みたいです。(※5)


 今日は第三章まででしたが、明日中には最後まで読み切りたいです。


*****


※1『牛車で行こう! 平安貴族と乗り物文化』 2017年 吉川弘文館 

https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b287164.html


※2 鷲生の書いた平安ファンタジーはコチラ↓

「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」

https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393


※3 目次(上掲Webサイトから)

はじめに―ドライブ前の点検/車を選ぼう(車種と身分・階層/牛車の身分規制/偽装する車/車の所有・貸与・相続/受領の牛車)/牛車で行こう!(では、乗り込もう〈牛車は後ろ乗り/牛車は四人乗り〉/車を走らせよう〈牛車のスピード/車中の工夫/車を引く牛/移動の風景〉/車を停めて、降りて、片付けよう〈その前に門をくぐる/車を停める一工夫/車から降りる/車を片付ける〉以下細目略)/歩くか、乗るか?(歩く貴族/輦車宣旨と牛車宣旨/平安貴族と騎馬)/ミヤコを走る檳榔毛車(檳榔毛車とは何か?/檳榔毛車の作法/ミヤコのなかの檳榔毛車)/一緒に乗って出かけよう!(女房たちの同車/同車に表れる人間関係/そして一緒にどこへ行くのか?)/廃れたからこその牛車(廃れる乗車文化/牛車研究の金字塔『輿車図考』/『源氏物語』の牛車) 


※4 旧城門の用法について、飯淵康一「旧城門 内裏門の性格と平安旧内裏の空間秩序」『平安時代貴族住宅の研究』中央公論美術出版 2004年)


※5 西山良平『都市平安京』京都大学出版会2004

 https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784876986187.html


 https://www2.city.kyoto.lg.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/bunka06.html

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