『散華 紫式部の生涯』読了しました!

 杉本苑子さんの『散華 紫式部の生涯』(※1)を読み終えました。

 上巻がなかなか紫式部の話にならず、サブタイトルに惹かれて読み始めたので小説に入り込みにくく感じたのですが。

 上巻の終わりごろから紫式部が中心になり、私も知っているエピソードが盛り込まれるようになるとグイグイ引き込まれて読み進めました!


 後半になってくると、前半に登場した人物が紫式部の生涯に何かと影響するので、あの上巻はここでこうして活かされるのだなと納得行きました。


 作家となった紫式部の小説執筆にあたっての葛藤は、そのまま杉本苑子さんのものかもしれませんね。

 そして、紫式部が何を書きたいか自分の内面を見つめ直すのに、冒頭部分の盗賊・袴垂のエピソードがいきてくるんですね……。


 袴垂保輔は、この小説では「義賊」として描かれます。

 鷲生も自分の平安ファンタジー(※2)で義賊を登場させております。この時にちらっとだけ袴垂のことも調べてみたことあります。


 この『散華 紫式部の生涯』では、中宮彰子が自我の乏しいお人形のような少女だったのが、紫式部の知的な導きにより父の道長の非道に対抗するようになったので、道長が紫式部の宮仕えを辞めさせたことになっています。


 この解釈、鷲生が子供の頃読んだ、学研の学習漫画の『紫式部』とよく似ているような……。

 紫式部の人物像は史資料に乏しいので、このへんは学者や作家の想像で補われている部分かと思います。

 杉本苑子さんの小説が学研漫画に影響したか(逆は考えづらいです)、両方が参照した有名な学者の著作があるか……(今の鷲生がパッとこれだと分かるものはありません。不勉強でお恥ずかしい……)。


 一方、来年の大河ドラマ「光る君へ」では、紫式部と道長は「ソウルメイト」だそうで。

 史料(「尊卑分脈」)に「妾」とあったりするので、男女の仲だったのでは?とされたり。

 一方で、『散華 紫式部の生涯』のように(男女の仲もあるけど)思想的に対立すると描かれたり。

 来年大河の「ソウルメイト」では、どのような関係性が描かれるのか楽しみです。


 また、杉本苑子さん、当然ながら文章が上手いです!

「ここはこういう表現があるんだ!」とメモを取りながら読み進めておりました。


 また、優れた小説を読んでいると、鷲生にも刺激となり、次回の平安ファンタジーを「こうしてみよう」「ああしてみよう」とアイディアが湧いてきます。

 これもノートにメモしておりましたw


 *****


 そうそう、12月20日発売の『謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(※3)という本、某ネット書店から届きました!


 そして、図書館で予約していた『〈女帝〉の日本史』『列島を翔ける平安武士』も手元に来ました。

 あー、思いっきり読書したいです~。

 でも、年賀状とか確定申告の準備とか、この時期ならではの用事もあるんですよね……ふう……。


 *****

 ※1 中央公論新社 『散華 紫式部の生涯』

 https://www.chuko.co.jp/bunko/2023/09/207416.html


 ※2 鷲生が描いた、義賊が登場する平安ファンタジーはコチラです↓。

「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393

(カクヨムコンに参加しております! どうぞよろしゅう……)


 ※3 『〈女帝〉の日本史』 NHK出版

 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000885292017.html


 ※4 『列島を翔ける平安武士』 吉川弘文館

 https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b280811.html

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