【和風F】アップトゥデイトな語り口が読みやすい!『謎の平安前期』
世間様がクリスマスに浮かれるなかでも、鷲生の今日の日記は日本の平安時代ですw
12月20日に発売されたばかりの中公新書『謎の平安前期──桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』を読みました!(※1)
語り口がすっごく現代的で、とーっても分かりやすく読み易かったです。
著者は榎村寛之さんとおっしゃる方で、あとがきによれば「『六国史』の後半四巻を読んだ時に感じた、それまで主に読んできた『続日本紀』との違い、そしてここに書かれた九世紀の社会を平安時代を呼ぶことへの違和感」を出発点に、その研究の蓄積に加えて「斎宮歴史博物館学芸員としての経験をトッピングしました」とのこと。
「博物館の展示や各種サポーターさんへの講義などは、学術一本鎗で通るものではありません。なるだけ理解しやすい方法で解説するのが私のもう一つの仕事でもありました」のだそうで、本書の親しみやすさはキューレーターとしての経験が活かされたもののようです。
古代史を現代人の素人にわかりやすく……といえば、中国古代についての柿沼陽平さんの『古代中国の24時間』を思い出します(※2)。
鷲生は柿沼陽平さんのX(旧Twitter)をフォローしておりますが、この方は1980年生まれで、それで若々しい文章をお書きになるのだと思っておりましたが。
こちらの榎本寛之さんは1959年生まれ。2023年現在64歳。まだまだお若いとはいえ、本書の文章からするともっともっと下の世代だという印象を受けるので、とても頭の柔らかい方なんだろうなあという気がします。
話題も、鷲生が気になるトピックが取り上げられていて面白かったです。
「謎の平安前期」とあるように、鷲生にとってもここは不思議な時代です。
奈良時代から、私達がイメージする平安時代への移行期にあたるハズですが、今一つイメージがわきません。
律令制下ではわりときっちり女官制度が決まっていましたし、実名で活躍する女官だっていました。
顔を出して男性に混じって働くキャリアウーマンですね。
また、奈良時代には女性も漢文を書いていました(ってか、仮名もなかったですし)。
奈良の博物館で光明皇后の書いた漢字だけの文書を見ましたが、力強い筆の運びでした。
それがどうして、紫式部の時代になると「女だから一の字も読めないふりをしなくては……」なんてことになるのでしょう。
それから。
高松塚古墳とかの奈良時代の巻きスカートから、いわゆる十二単にどうやって移り変わってきたのでしょうか?
「謎」と言われるだけあって、一時的な史資料がふんだんにあるわけではなく、これらの疑問が全てくまなく解決されるわけではないとはいえ。
問題の所在と最新の研究状況にもとづいて一定の解説があって、これがとっても興味深かったです。
平安ファンタジー小説を書こうとする方には読み甲斐のある本だと、鷲生は思いますよ!
(あ、鷲生がちょうど奈良時代の影響が残っている平安時代をイメージした小説を書いております。カクヨムコンに参加しておりますので、よろしければぜひ! 「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393 )
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※1 中公新書『謎の平安前期──桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2023/12/102783.html
※2 鷲生が読書記録をカクヨムに書いております。
「中華ファンタジー・中華後宮モノを書きたい人への資料をご紹介!」
第6話 日常描写の手引きに役立ち、著者の学者先生のキャラが楽しめる『古代中国の24時間』
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330647953427843
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