【創作全般】「自任」と「自認」について

 鷲生は 今年公開した中華ファンタジーを公募に出すために推敲作業をしております。


 このファンタジー小説では、前の王朝が新しい王朝に追われて南に移り、そこで貴族文化を花開かせたことになっております(南北朝期の六朝文化をイメージしました)。


 で。

 その貴族たちが「我々こそ伝統文化の後継者であると『自任している』」と鷲生は書きました。


 この使い方で別に間違ってはいないだろうと思いましたが、あまり見かけないので念のため確認したところ……。


 いや、鷲生の使い方はこれで問題なかったんですよ。

 「自任」は「自分が相応しいと思う」「自負している」という意味でOKです。


 ただ、世間様はこのような用例でも「自認」を用いる人が多いのだそうです。


 毎日新聞校閲センターが運営するサイト「毎日ことばplus」で、この両者についての話題が記事になっていました(※2)。


 アンケート調査の結果、「自任」という言葉を使う場面でも「自認」を使う人の割合が、「自認」しか使えない場面での割合とあまり変わらなかったのだとか。


「毎日ことばplus」としては意外な結果だったようです。


 うーーん。

 鷲生としては、自分で自分をどう認識しているかが「自認」であり、”その中で”「自分が何かに相応しい」と思っている場合に「自任」を用いることもある……と理解しております。


 つまり範囲が、「自任」は「自認」の一種、「自任」<「自認」だとイメージしているのです。

 だから、「自任」を使う場面でも「自認」の人がいるのは分かりますし、「自認」しか使えない場面で「自任」と使ってなければそれでいいのでは? と思います。


「毎日ことばplus」の記事でも、最後に鷲生と同じ結論に達します。


「『自任』がよりふさわしいと思われる場面以外では、広く「自認」を使っても問題ないと判断します。」


 鷲生の解釈がおかしいわけではなかったので、そこは安心したんですが。


 ただ、最後のこの結論に至るまで、「毎日ことばplus」様にとっては自明のことではなかったということの方に、鷲生はちょっと驚いたのでした。


 *****


 前回のこの日記では「薨去」を使う場面でも「逝去」と使いがちだということを書きました(※3)。


 特殊な表現は一般的な表現に吸収されがちかな……という気はします。

「自任」と「自認」もそうかもしれません。


 ただ、短い文章ではなく、長い小説を書くなら表現は多彩な方が絶対にいいので、「自任」という言葉も忘れず、適切に使っていきたいですね。


 *****


 ※1 中華ファンタジーはコチラ↓

 お正月明けに提出してしばらくはネット上では非公開にします。ですので、それまでにぜひお立ち寄りを!

「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」

 https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


 ※2 「毎日ことばplus」:「自認する」何を認める?

 https://salon.mainichi-kotoba.jp/archives/25806


 ※3 【和風F】【中華F】貴人が亡くなる際の表現とルビを振る作業

https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16817330668303283781

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