第2話  侵略開始

ある子供部屋。普段は静かなこの部屋にも、激しい爆発音は届いていた。しかし、小さな男の子は、こんこんと眠り続けている。

「牡丹、起きなさい!起きなさいって!」

「牡丹起きろ!」

「だめ。起きないわ。」

「仕方ない、抱えていくぞ。」



「$€°¥€→°#2#$;」

「℃#€¥→22%3%$¥→」

うすら黒く濁った影が、強い閃光を放つ。ひとびとは、その凶弾から逃れられる場所を求め、逃げ惑う。

「ヤツら、手当たり次第に撃ってる。狙ってない。」建物の影にうまく逃げおおせたものが、共に逃げてきたものに愚痴った。

「兵士たちはどうした?彼らなら、なんとかできるんじゃないのか?」

「敵の数が多すぎるんだ。リグーの守りを固めてる。ここまで手が回らないだろう。」

「くそっタレ。長老は俺たちを見殺しにする気か?」

「仕方ない。に降りよう。緊急事態だ。管理司祭の奴らも、今回ばかりは大目に見てくれるはずだ。」

「そう…だといいな」

ふたりは、裏の路地へ消えた。...が、遅かった。

「もうここは制圧したってのかよ。速すぎんだろ」

ふたりの目線の先には、二つの影があった。向こうもこちらに気づいたのか、振り返ってくる。


目が合った。そんな気がした。片方が、話しかけてきた。

「→€%8+*☆$」

「何を言っているのかさっぱりわからないんだが」

「$€$€¥→°#°」

「何が目的で、なぜ俺たちを殺すのか、聞いても無駄だろうな」

「...タン♪€$3<×♪→」

少しだけ聞き慣れた言葉が聞こえてきた。

「お前ら今なんつった?」

男は盛んな血気に身を任せ、影に詰め寄った。

「ボ-タ-ン-$2-☆♪$-°2¥♪35○→」

「ボタン?あの子供が何か関係してるのか?」

影は身振りで何かを伝えようとしてくるが、意味はわからなかった。

「$€→」

もう片方が何かつぶやいた。

それを聞いたのが、ふたりの最後だった。

乾いた音は、当分鳴り止みそうになかった。


父の腕に揺られ抱かれ少年の目に映ったものは、『悲惨』であった。これまでの人生で触れてきた景色は、瓦礫と炎で埋め尽くされていた。普段は明るい声が溢れていた商店街には、誰かの断末魔が遠く響いていた。

「ウィル、ミラ、こっちだ。」

建物の影から、声が聞こえた。

「健作さん!」

親子は、勢いよく路地に駆け込んだ。

「健作さん!一体これはなんなんです?まさかこれが、昔言っていた『未来』なんですか?」

「悪い、今は答えられない。敵はもう半分程度制圧している。長老は、リグーを拠点に、下で反転しようとしている。それより前に下に入った方がいい。」

ケンサクさんは、地面を拳で殴りながら説明してくれた。壊れた路地の下には、細い階段があった。

「ここを通れば、下に出られる。」

「ありがとう、あなたは?」

「俺はもう少しここにいる。仲間を待つ」

「私からもお礼を言わせて。ありがとう」

「ミラ、子供を守れ。全力で。」

ケンサクさんは、僕の頭を撫でようとした。大きな、血と砂にまみれた手だった。

「今はこっちの手だな」

ケンサクさんは、出した手を引っ込めて、ポケットから逆の手を出した。ゴツゴツしてるけど、綺麗な手だった。僕の頭に手をおくと、優しく、つぶやいた。

「生きろよ、牡丹」






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笑ってみせてよ二人とも ゴキヴリメロン @dktry

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