第16話 飴と薄きチョコレート

 晴れた朝、今はランゴドとカリー、そしてカタナの三人で広場へ出ている。

 昨日の計画を実行する為にそこに出たのだが、ある二人の子どもが喧嘩していたのを見て、三人は眉をひそめた。

 ずぶ濡れたままのホルタとムカデが、服を掴み合って喧嘩していたからだ。

「お前のせいで濡れたまま朝を迎えたじゃねえか!!」

「だって……!! 部屋に入れないんだもん!!」

「それは、俺のことが嫌いだからっ……」

 よしなさい。そうランゴドが二人を止めた。

「「マスター……」」

「ムカデ、少しホルタと話がしたいから、あっちへ行っててくれるか。それと、カリーさんたちも」

 指示に従い、一人や二人は違う場所へ移動した。

 やや照れるホルタとランゴドとで会話が始まった。

「ホルタ……ずっと我慢をさせてすまなかった」

「我慢……」

「ずっと、君は興奮していた。それは何かを好きだと言う気持ちの表れだったんだろう。それを、私は無闇に抑えてしまっていた」

「……」

「私も、ずるかったのだが、実はみんなに隠れてお菓子を食べていたんだ」

「お菓子を!?」

 ホルタは笑った。

「あぁ、こっそり、な。だから本当は君にああいった事は言えなかったんだ」

 二人はそれから会話をさらに弾ませた。心に詰めていた川の流れは再び活き、欲望の形をより良いサイズにしていく。

「好きなものは好きと、ホルタは言い」

「ランゴドさんは、お菓子を食べても良いけど、運動する」

「これが私と君での約束だ」

 二人は微笑んだ。のち、ホルタがカリーの元へ走って来た。

「どうしたのホルタ」

「……」

 ホルタはあの時の様にもじもじとしていたが、もう黙ったままではいなかった。

「好き。カリーくんの事が好き。生意気な君が好き。付き合って欲しい!!!」

 二人の子どもが赤面した。直後ランゴドは笑い出した。

「はっはっは。ホルタ、もう少しお話ししてから付き合った方が良いぞ」

「えっ?」

「まだよくカリー君を知らないのに、いきなり付き合ったら喧嘩しちゃうかもしれないだろう」

「あぁ、そうか!」

 二人は笑いながら、話をし続けた。

「さぁ、みんなにもこの話をしに行くか……」

「うん、みんなにも……」

 最初に会った時よりずっと明るいこの場を、二人は少しずつ、こっそり離れていった。カリーは恥ずかしさの為に。カタナはの時間の為に。

 振り向いて見えた空には、いつものパステルブルーと虹が対として見えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

メルヘン風にゆく 緑がふぇ茂りゅ @gakuseinohutidori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ