ショートうんこ

尾行

　男が建物から出てきた。

　事前に得た情報通りだ。

　予定通り尾行を開始する。

　あの男は敵組織の幹部。

　今回の任務は、あの男を尾行して敵組織のアジトを突き止めること。

　非常に重要な任務だ。失敗は許されない。

　尾行を開始して少したったが、思ったより簡単だな。

　ただ相手の背中を見ながら歩けばいいだけ。

　男が振り返る様子もないし、初めての尾行で張り切りすぎたかな。

　男がトイレに入っていった。

　トイレから出てくるのを待つことにしよう。

　しばらくして、男がトイレから出てきた。

　尾行を再開してすぐに異変に気付いた。

　男の尻にうんこが付いているのだ。

　なぜ、尻にうんこが付いているのか。

　拭き残しだとしてもズボンにうんこが付くのはおかしい。

　もしかして、うんこをするのが下手なのか。そうだとしたら説明がつく。

　うんこをした際、飛び散ったうんこがズボンの尻部分に付着したんだろう。

　間抜けな男だ。

　さっきから歩いてばかりだけど、いったいどこに向かっているんだと思っていたら男がトイレに入っていった。

　尻に付いたうんこに気が付いたのだろうか。

　ずっと視界にうんこが入っていたせいか、すこし気分が悪い。

　ズボンに付いたうんこをとってきてもらわないと、うんこを漏らしそうだ。

　ズボンにうんこが付いてませんようにと願っていたら、男がトイレから出てきた。

　この位置からでは顔がよく見えなかったが、そいつが尾行対象の男だとすぐに分かった。

　なぜなら、尻にうんこが付いていたからだ。

　しかも、さっきより多い。大量のうんこがべったりと付いているのだ。

　どうなっているんだ。ズボンの上にうんこをしたのか。訳が分からない。

　後をつけているせいで、強烈なうんこの臭いに襲われている。今にも吐きそうだ。

　尾行がこんなに大変だなんて思わなかった。今すぐ尾行をやめたい。

　だが、こんなチャンス２度とないかもしれない。

　臭いさえ我慢すれば、敵組織のアジトを突き止めることができるんだ。

　男が角を曲がった。

　その際見えた横顔は知らない顔だった。