第一印象は見た目が90%、悲しい
世界四大宗教のひとつ、『拝神山教』の総本山に邪神が降り立った。
その報は瞬く間に世界中に広まった。
一枚の写真と共に。
黒い靄を纏わせ、軟体の体を持つ百足のように体をうねらせながら、足の代わりに短い触手を、身体の中心に牙を持つ口を、頭部には複数の眼を。
人に嫌悪感を与えるような。
生理的に拒絶させるような。
異形が降り立った。
『『『『我が名は『Akzatoth』!!
四つの教えの祖であり、外なる神である!!
我が仔らを救う為、我はここに顕現せん!!』』』』
この一言がすでに間違いであった。
堂々と間違えた。
盛大に、コケた。
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戦争は思想の違いによる、武力行使である。
思想とは考えであるため、言語で争わなければならない。
争いの原因の一つとして挙げられるのが、宗教間での食い違いである。
神はひとりだけであるという主張。複数いるという主張。
この生物は神聖であるため殺傷は禁ずる。
この土地は我が神の土地であるため、即刻離国せよ。
祈れば死後は罪から救われる。祈らねば、罪を償う。
否定する材料がないため、自らの主張を押し通す。
言語でなく、武力で。
どの世界でも宗教による食い違いは起こるものである。
この世界でも四大宗教間には深い溝ができている。
時間をかけて、時間をかけて、掘り進めてしまった。
引き返すことなど、溝を埋めることなど既に不可能である。
その溝を深めているのは宗教の上の連中である。
教主たちが下の者たちを制御しきれていないためである。
下の者たちが理由をつけて、溝を深めていく。
どんなに些細なことでも、スコップ一杯分の量でも、長い年月続けていくとただ深まるばかり。
それは宗教の上の連中が、意見を押し通すのではなく、分かり合うだけでよかった。
「私たちはこう考えています。あなたたちはそう考えているのですね。考えが違いますが、それでいいじゃないですか。信じるものを信じなさい」と。
それができないのは宗教を代表する教主の自分の主張が強いためである。
宗教のトップであるため、信仰心が人一倍強いのはわかるが、他の信仰を受け入れてこそだろう。
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そんな主張の強い、信仰心の厚い教主の目の前に、「すべての宗教の信じる神は同じであり、その神が我である」とほざく異形が現れればどうなるか。
「よろしい、ならば戦争だ」
ザッ……!!
どこからか現れた武装した特殊部隊が一瞬にて異形を囲む。
剣を。盾を。槍を。銃を。
各々の武器を構え、敵を囲む。
魔術部隊は教主の周りを囲む。
剣を、盾を、槍を、銃を、魔術で強化する。
「特殊陣形・対大型魔獣・散開ッ!! 大楯部隊前へ!! 前衛、相手は黒い靄を纏う。物理は効かないと判断!! 魔装による攻撃に変更!! 魔銃部隊は後方から支援。魔術部隊は教主様を全力でお守りしろ!!」
「「「「「「「 はッ!!!!」」」」」」」
『『『『 なッ⁈ 我は神である!! 汝らの親である!! 汝らを救うため!! この地に今一度戻ってきた!! 』』』』
「お前みたいな化け物が神であるはずがなかろう!!」
「創世記書に記されている神と姿形が違う!!」
「その姿、鳥肌が立つ!!」
「そんな怪物を神と認めるわけにはいかん!!」
「侵略者め!!」
「外なる神と名乗ったぞ!!」
「我々の神を、あんな塵と一緒にするな!!」
「汚らわしい体を聖なる地に持ってくるな!!」
「即刻立ち去れ!!」
『『『『 お、お前たちに人を見た目で判断していいとは教えていません!!』』』』
いかに神といえども、息子・娘にここまで言われると悲しくなる。
「「「「「「「お前は、親じゃねえええええ!!!」」」」」」
『『『『びゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!』』』』
神は逃げ帰りました、マル
そして、誰も人が寄り付かない山に引きこもりました。
400 years later……
*****************
どうも、作者です。
今回も読んでくださり、ありがとうございます。
本当は昨日更新する予定だったのですが、書いている途中で寝落ちして、保存できておらず、『異形が降り立った』からは前に書いていたのよりコメディよりになりました。これは不本意です。
深夜テンションで書いてたから、目を覚ましてからは書いた内容を覚えてなくて。
だる~と思いながら、今回の話をたた~と書きましたが、こんなの公開したくないな~と思いながらポチッ……
駄作でごめんなさい。これからもこうなります。寝落ちデータロスはしないでしょうが、某ソシャゲの箱イベで200突破したので300目指し、投稿が遅れるかも確実に遅れる。私、失敗しないので。効率よく周回してきます。リンゴおいしいね。
神の姿は人型である必要はない。 咲春藤華 @2sakiha
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