第三十四話 秘め事
「ついに完成しました」
そこには凧と気球を組み合わせた奇妙なモノが映っていた。
「これを使い陽動します。その隙に乙姫とシズ姫さまの救出を。その詳細ですが……」
“フェリーチェの儀”の最後には、乙姫が神々への祈りを乗せた
それに合わせて国民が一斉に
その
街から放たれる
「そこで城外でこの気球を放ち、ワイヤーで誘導します。その後、気球から
その
脱出の経路は以前潜入した時に下見した王族の
王族とそれを守る近衛兵の、しかもその一部の者しかその存在を知らされていない。
「ゆえに、ワルレー軍卿の編成した近衛兵は知らないはずです。場内を警備する警備兵に
脱出した後の話だが、王都“エテルネル”を離れ二キロ先にあるシリル川から川船を使い、沖合に停泊している外洋船まで逃げる。
そこから先は友好国に亡命の拠点を作ってあるそうだ。そこまでがオレたちの太郎さんから
「ふぅん、そのあとの“アの国”はどうなるんじゃろうの?」
クロウさんの一言にポールさんと、リタさん、ショーミさんも押し黙った。
「ご心配無用――と言いたいところですが、これ以上は我らには力が及びません」
おそらくは――とポールさん。
「“ラの国”へ対抗できる“大妖ハデス”も復活せず、“ラの国”の侵略を食い止めるのが精一杯でしょう」
と言いつつも、友好国に亡命したのちに政権を奪還する計画もあると言う。
「なにより肝心なのは乙姫とシズ姫の奪還です。そのために我らは準備して来た」
と告げるポールさんを見ながらクロウさん。
「すまぬ、余計なことを申した。七郎、報酬の受け渡しを今のうちに話しておけ。始まってしまえばそれどころではなくなるであろ?」
と冷めた感じで七郎(弁慶)さんをみる。
何か言いたげに口をモゴモゴさせていた七郎さんだが
「前金で半分、成功した暁には残り半分を
と実務者協議に入ったようだ。
なにやら不満気なリタさんを見て
「リタ、腹が減ったぞ。軽いモノでも良い、なにか
といつもの無邪気な笑顔でその
――――その日の夜。
「男子の寝所に
とベットに横たわりながら閉じていた
微かな匂いで眠気も覚めて、ゴロリと気配の先に目を向けたクロウさん。
「リタ殿、ワシは
と見やる先には、スルスルと
フワッと甘い香の匂いがする。
そのまま有無を言わせぬ
「なにが狙いじゃ?」
「なにも……と言いたいところですが、“ラの国”に抗する知恵をクロウさまから頂きたいと」
「その報酬が
「
「女は怖いの?!」
と答えようとしたクロウさんの
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