第二十四話 助けて……
内廷へ難なく潜入したクロウさん。
「波動――
とわずかな光でも見通せる波動を発揮して、屋根裏を移動中。
こんな時間でも内廷はブラックらしく、残業の灯りが天井の
「さてこの柱から四つ、右に十二数えたあたりか?」
均等に並んだ柱を頼りに、頭に叩き込んだコト姫の幽閉されている資料室の上まで移動する。
(ここらかの?)
シコロでそっと天井の羽目板を外すと、フワリと
幽閉の
(あたりじゃの)
腰の
リールに巻かれた糸の先は
リールの中に強力なゼンマイバネが内臓してあり、側面のレバー一つで巻き上げの強弱が調整できる。
糸もひとり二人ぶら下がったくらいでは切れないと言う優れもので、平たく言って現代のウィンチだ。
一を聞けば十を知るクロウさん。
たちまち使い方を習熟して「これは良いの」とご機嫌で持って来た。
「さて、ご
「誰?」
と鈴がなるような声。
途端にクロウさんは土下座をしていた。
(波動、
《味方じゃ――騒がんでたも。シズ姫かの?》と、たずねる。
『
ちなみにリタさんに、
おかげで二度も飯を抜かれた。――何やってんだよ。
「私を殺しに来たの?」
《味方と言うておる。父上(タロウさんね)の
「ああ……父上……」
と
《辛かったの? コレが預かった“
ススっと
《後ほどコッソリ聞くと良い。必ず助けに参るよって……》
ポフっとシズ姫が
「嫌っ、もう嫌なの、助けて――今すぐここから出して」
ふんわりとラズベリーの甘い香りがした。
押し付けられた二つの丸い丘がグニャリと
「お……?」
思わず腰に回した手が、ウエストのくびれと女性ならではの曲線を意識させて、頭の奥がクラクラと
「おお……?」
トクンっと心音が高鳴った。
耳元でシズ姫の
「お願い……お願い」
震える背中をポンポンと優しく叩きながら、「しーっ、しーっ」と
《苦しかったであろ?
「波動……
シズ姫のトクトクとした心音が伝わる。それに合わせてクロウさんは波動を放った。
強く固まった体から少しずつ力が抜けていく。
「お……男の人?」
あ……? 侍女の化粧をしているんだった。
《必ず救い出してやるよって心配いらぬぞえ》
そう伝えた時だ。
「波動に異常ありっ!
と底冷えのする声が響き渡った。
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