第十九話 潜入をしよう
太郎さんに頼んで借りてきた“
「助けて……」
と鈴を振るような声に、また胸がトクン……と脈打ち苦しくなる。
「試しに会ってみるかの……」
とクロウさんが
――――で、その翌朝。
商社の空き倉庫で、今日も早朝から波動の訓練をしてるポールさんを捕まえた。
「うわぁっ!?」
文字通り
「か、かなり腕を上げましたな」
焦り気味に引き
「のう、頼みがあるのじゃ」
「一度、竜宮城へ潜入してみたいのじゃ」
普通なら「なにを馬鹿な」と一笑に伏されるか、「事を前に軽々しいことは
だがポールさんは
「なぜそう思われるのです?」と聞いてくれる。
なにやら
「城内の様子も見ておきたいのじゃ。ぶっつけ本番では、事を
ポールさんたちは元々が近衛兵だったから、城内の構造は
だが、オレと七郎(弁慶)さんにとっては、未知の領域だ。
「事件が起こり、
と訴えると、七郎(弁慶)さんも「それは
もっとも
「わかりました。私に考えがあります」
とポールさんは
「これが竜宮城の見取り図です」
棚から取り出した
横に長い長方形の建物が三つ並行に並び、三つの建物の側面にそうように縦に長い長方形の建物がある。
そして、そのそれぞれを
「一番手前の建物が
とん、と正門に一番近い建物を指す。
「その側面にある長い建物が軍部。近衛兵の
とその左側にある縦に長い長方形の建物を指す。
「その奥にあるのが
ここのどこかにシズ姫がいるのか……。
敷地のほぼ中央に近い。潜入は難しいかな。
「そして一番奥の宮殿。ここに我らがオトワニ女王様(乙姫)が幽閉されています」
一番奥の大きな建物に指を置く。
「幸い“外魂の玉”が
と
「ここに取引き業者の納品所があります」
とん、指差す先に
「ここに内通者を置いておきます。お二人は納入業者に
侵入口と脱出口はここ――と宮殿の侍従たちの出入りする二つの門を示す。
「そして宮殿の
「ぬ? ……抜け道かの?」
クロウさんの問いに
「二日後に納品があります。発覚しても尻尾をつかまさぬよう根城を移しておきましょう。決行はその時に――さっそく準備を」
「
と
「さあ、それまでに
クロウさんは濡れ手拭いを手に、リタさんをじっと見るのだった。
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