グループライン

彩鳥るか

理解されたい

「---」


3ヶ月悩んで、一ヶ月前に文面を考えて、送る勇気を出すのに2週間かかった。

そんなメッセージ。


ラインの画面。グループで既読はまだ全部はついてない。まあ多分未読無視もいて、共通してるのは皆答えたくないということ。


分かっていたと思っていたけれど、それは傲慢だったかもしれない。やっぱりメッセージを送る前には、返信してくれるだろうという期待がつきものだ。私も例外じゃなかった。


理解されようとするのは、難しいし体力がいる。文面だけで会話するのなんて論外だ。


もう、なんか私は疲れていると思う。喉の奥がつかえているような感覚がずっとする。


澱んだ沼の下へ、下へ、下へと沈んでいく。


諦めようとも思う。

なのに、やっぱり少し期待している。


焦燥感。


スマホは手のひらの一部で、もし通知が来たら一瞬で飛んでいける準備があって、多分この世で十数番目くらいに見たくないものなのに、気づけば緑のアイコンをタップしている。

トークルームには多分誰もいないのに。


既読が増えて行く度に、無言のメッセージが届く。多分「気に食わない」とか「空気読めない」とかそういうの。


動悸がする。


暖かい泥に包まれて、自分の心臓の音だけが鮮明に聞こえる。


冷静に考えみる。

多分みんな、誰かがこの面倒くさいやつの相手をしてくれるだろうと期待しているのだ。日本人特有の押し付け合いの精神みたいな感じで。


つまり、私のメッセージなんて誰も気にしてなくて、皆にとってくだらないことだった。


いつのまにか音を聴いてなかった。ちょっと緊張してて、頭が空っぽになっていた。


深呼吸。

そして気づいた。返信がないことが、一番のメッセージだった。


私はたった一人で、どこかもわからない沼の中で、もがいてる。


でも、とまた気づく。

私は懲りてない。上も下もわからない沼の中で、どこかに澄んだぬるま湯みたいなのがあるんじゃないかと思ってる。


既読が全員ついた。


沼には底があったみたいだ。

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グループライン 彩鳥るか @hibiscus1128

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