第4話 俺は強い

印を持って学園に帰ろうと都市内に入った時、突然イケメンや美女20人くらいが俺を取り囲んだ


「ファッ?!」


突然過ぎて変な声を出してしまったが、そんなことは誰も気にせず俺に怖い声で語りかけてきた。


「お前が持っているその印をよこせ」


なるほど印を持ってさえいればモンスターを実際に倒したかどうかなんて確認のしようがない


それに普通100万人の受験者で2000匹しかモンスターがいなかったからモンスターと1度も会えずに全てのモンスターを倒されてしうなんてことが怒ってしまう



つまり、モンスターと会えなかった人たちは、モンスターを倒せた人を襲って印を奪い取る。

これしか第1次試験を通過する希望がないわけだ


「あの...僕は印を...1つしかもって...ないんですけど...僕が印を渡しても...1人しか第1次試験通過できませんが...」


20人ぐらいのイケメンや美女に囲まれ威圧されコミュ障の俺はここでまともに喋れなかった。


だがこの前の金髪ロングの人や黒髪ポニーテールの人ほどの美女は、いなかったし、このまえの金髪ロングの人との会話によって若干コミュ障も少し直ったのでは、ないのだろうか


おっと、そんな事を考えている暇ではなかったこの状況を何とかしなくては


「大丈夫だ、印を受け取った後はこの僕が通過する」


そう言って奥から周りのイケメンたちとはレベルが違うイケメンが出てきた。


「あの...あなたは...誰...でしょうか?」


「僕の名はカーナ・キンカー、世界でも有数の名家なキンカー家の長男にして跡継ぎの男だ」


あ〜、何となく状況が理解できたぞこの取り囲んだ20人は全員キンカー家の、家来といったところか


「ここにいる20人全てが僕の手下だ」


どうやら正解のようだ。


「そしてここにいる人間以外にも離れた場所から僕によって買収された人間が約1000人いる。大人しく印を渡せばお前には何もしないでやる。さあ大人しく印を渡せ」


どうするべきか大人しく渡したほうが確かに身のためだが俺にはレジェンドヒッキーになる夢がある。

ここは無理やり突破するべきだろう。


「今印を渡してくれたら君にも100万エンほどあげよう」


この世界では、偶然にも通貨の名前が日本と同じであるエンという名前であった。

エンは、円の10倍ぐらいの価値である。つまり100万エンは日本金で1000万円ぐらいだ


そんなことより1000万円ともなれば俺は、長い間引きこもり生活を過ごすことができる。


どうするべきか


「あと10秒以内に決めないと無条件で攻撃する」


まずい、早く決めなくては

いやでも100万エンあっても一生引きこもり生活ができるわけではない

それに俺は、国から認められたレジェンドヒッキーになると決めているのだ


「あと2秒」


「や、やめときます」


「そうか、悪く思うなよ」


そういうと俺を取り囲んでいたカーナ達は俺に一気に異能で攻撃してきた。


俺は、全方位に極炎を放った。

ドラゴンにはなった時のような火の玉の形では、なく炎をそのまま放った。


極炎は、ある程度放出する炎の形も操れる。威力を出そうとするなら玉のような形にするが、下手に人を殺して問題になっても困るので、ある程度びびらすつもりで放った。


極炎によって手下が放った魔法は全てかき消すことができた


どうやら手下が放ったのは全てが魔法だったらしい

もし神通力を放たれていたら魔法の極炎ではどう足掻いても消せなかったため幸運だった。


俺は手下が体制を整える前にもう一度先ほどよりも少し威力を上げて全方位に極炎を放った


だが俺が放った極炎は、カーナによってかき消された


「風全操作ウィンドマスター」


そういうとカーナは風を身にまとい俺に急接近してきた。


「お前のその魔法では僕には到底勝てないな」


俺はカーナが急に近づいてきたので、急いでカーナに向けて極炎を火の玉と形状にして飛ばした。


だが俺の極炎はカーナがまとっている風にかき消された。


「神通力か」


俺の極炎も所詮は、魔法なので神通力には勝てない


俺はダメ元でもう1度極炎を火の玉の形状にして放った。


「そのようなぬるい攻撃など僕には通用しない、風刃ふうじん」


そういう風を刃のようにして放ち極炎を両断した


「吹き飛べ」


俺はカーナの風魔法で、後ろにある壁に吹き飛ばされた。


「一瞬でこんなに吹き飛ばされるなんてチートかよ50メートルは吹っ飛ばされたぞ」


壁に吹き飛ばされた俺の元にカーナが一瞬で距離を詰めた


「吹っ飛べ」


俺はカーナの風魔法で今度は上空に吹き飛ばされた。


俺は極炎を足から出してロケットと同じような原理で空を飛んだ。


「チッ、お前も飛べるとはな」


そういうと、カーナも風魔法でゆっくり空を飛んで近づいてきた。


「これでわかっただろうお前と僕では力の差があり過ぎる、確かにお前のその異能もなかなかだか、僕ほどではない」



カーナの神通力はシンプルだが故に厄介だ。

確かに俺とカーナでは実力差がありすぎる。


だが、この勝負は実のところ俺に有利なのだ。

カーナは全力で俺に攻撃することはできない、何故なら俺が持っている印を壊せないからだ。

そして俺はカーナと違って超常学園の敷地内に逃げ込めばその時点で俺は第1次試験をクリアすることができる。


俺には朝日が昇るまでに行かなきゃ行けないというタイムリミットがある上に1000対1でもある。


しかし空中で戦っている俺とカーナに誰も割り込んでこないということは、1000人の中で飛べるのは幸運なことに俺とカーナだけのようだ。


よってこの状況は実質1000対1ではなく1対1だ。


その事を全て考慮すると俺の方がまだ有利と言える。


だが極炎で全力で逃げてもカーナに追い付かれてまた吹き飛ばされるだろう


超回転はろくろは、作れても戦闘ではこれっぽっちも役に立たないし、俺の奥の手である神通力ともう1つの魔法は第2次試験の対人戦のために、誰にも見られたくない。


この勝負の内容は俺に有利だが、今の俺は完全に手詰まりだ


「ごちゃごちゃ考えても仕方ないか!今俺がやれる事を全てやろう!」


そういうと、俺は超常学園に向けて全力の速さで極炎を使って逃げた


「その程度で逃げ切れると思ったのか」


やはりというべきかカーナは10秒もしないうちに追いついてきた。


俺は、止まり今度はカーナにドラゴンの頭を吹き飛ばした時と同じレベルの極炎を放った。


「魔法では僕の神通力には勝てないぞ」


これもやはりというべきか、カーナがまとっていた風にあっけなくかき消された。


次は、カーナに全速力で近づいて全力でカーナの顔目掛けて蹴りをかました。


俺の蹴りは神通力の風は超えたがカーナに呆気なく受け止められた。


いくらぼっちゃんで、力がなさそうなカーナでも、12年間ヒッキーしていた俺より流石に力があるようだ。


「あ〜もうダメだ。極炎だけじゃお前には、到底逃げ切れそうにねぇな」


「ようやく僕に印を渡す気になったか」


カーナがそんな事を言ったので俺は思わず声を上げて笑ってしまった。


「何がそんなにおかしい?!」


「だってよいつから俺が炎だけしか使えないと思ってるんだ?」


「何を言っている?」


「俺は極炎以外の異能も持ってるし何なら極炎は神通力ですらないぜ」


「じゃあ本気ならこの僕から逃げられるとでも?」


「まぁ逃げることぐらいなら何の問題もねぇな。むしろ10分もかからずにお前を倒すこともできちまうな」


「面白い、せいぜい頑張って僕を倒してみるんだな」


「俺は、神通力には自信がないが、もう一つ使える魔法には自信があるんだな〜。まぁせいぜい頑張ってみるさ」


もう朝日が昇るまであと30分もないだろうし第2次試験のことを考えて出し惜しみするのはもうやめだ。

それに神通力は、使いにくいとはいえ秘密にできてるし問題もなかろう。


それから俺は全力で逃げることから、計画を変えて、カーナを全力で倒すことにしたのであった。

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異世界で引きこもりになるためのチート能力 メロンパン @panti

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