第10話 五大公爵家の興亡
ほんの短い間だったと思う。私はエドワードの胸から離れた。そう、私はやらなければならないことがある。
「この宮殿を壊させはしない。今度は私があなたを守る。ほんの少し待ってて。私たちが落ちた穴にロープを下ろすわ」
エドワードはエドワードだった。
私は走った。通路を抜けるとらせん階段があった。私は登って行く。石積みの壁に沿って幾度となく回ると出口があった。私は飛びこむように出口を抜けた。
どうやらここは城の一室。
四人の貴族が私を待っていた。一人は私の姿を見るなり涙ぐみ、私の前までやって来てひざまずいた。
「陛下。一目で分かり申した。不覚にも我が姉が生きていたかと思ってしまいました」
叔父のドーソン公だろう。そして、エドワードの御父上。顔立ちと雰囲気ですぐに分かった。
「御帰還。
ひざまずき、私の手にキスをした。他の貴族たちも次々と私の手に口づけをし、挨拶した。ルドベキアの
フレーザー公が言った。
「カムデン邸ではすでに
「諸侯の子息子女は我らの手の内にあるも同然」
「諸侯が味方出来ないカムデンは時間の問題でしょうな。いずれ陛下の御前に差し出ましょう。我ら、生きて捕らえる所存」
ドーソン公が言った。
「王殺しに
フレーザー公は私をテラスにいざなった。王都ガイガルディアが一望できた。カムデン邸は赤々と燃え、町すじや城壁はたいまつの
王都の遠く向こう、王墓の森は多くの兵が持つたいまつで、闇に浮かぶように黄金色にきらめいていた。
《 了 》
追放された私を溺愛するスパダリ、私の知らない間に全方位、盛大にざまぁを仕掛ける 悟房 勢 @so6itscd
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