第12話 浪響(なみひびき)の隠し事
海賊の襲来について、皆々から報告を聞きおえると、
- 高天原では、
日が西の海に沈むと、あめつちは紫の
- 豊浦宮は、
― しかし、すでに
その時、
まさにそこは、
― あれは、わたつみの宮だ。そうか、
神島の向こうには津島であり、わたつみの宮がある。まさに
― なるほど、
「宮は、いつお戻りになられる。」
「・・・」
このような大事を高天原に報告せず、単独で進めていることに後ろめたさを覚えていたのであろうか。
だが、
「申し訳ございません。」
「
「そのことなれば、先ほど、昆迩から聞いておる。」
それでも
「ならば、神島の
「いかにもその通りにてございます。」
とても、聞き取れないようなか細き声であった。浪響は、このことをなんと申し開きしたらよいのか、畏れていたのである。覚悟したとは言え、今は、正直に許しを請うだけで精いっぱいであった。申しわけなさそうに、本心を伝えようとするが、声にならない。かぼそき声でさらに続けた。
「津島のわたつみの宮と神島にお迎えの
「だが、奴らは直ぐにまた、やってくるであろう。
「
「相分かった。幸いに皆々も心配して、湊には多くの兵士が駆けつけてくれている。明朝にも、護衛船団を組んで神島に行こうではないか。」
「いえ、其れには及びませぬ。すでに、
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