要約するとひとこと紹介の内容に尽きると思うのです。
前衛+アタッカー担当の兄ルイスと、援護+知恵袋(…というより、技術者ないし発明家ポジション?)の弟ティトによる二人組の怪盗――「怪盗ナバーロ」が、弱者を虐げる悪徳貴族を鮮やかにとっちめるという大筋のもと、さくっと読めてスッとした読後感と共に読み終えられる、たとえるなら漫画雑誌の読み切り作品を思わせる仕立ての物語となっています。
以降、当方の所見というか感想ですが。
小難しいところのない活劇重視の分かりやすい仕立てで、かつ主人公から名無しのモブキャラまで、端々に「おやっ?」と思わせる一面的でない仕込みがあるなどするのに趣を感じます。
前述したとおり活劇重視の作風、かつ筆致は確かで、好みにブッ刺さるかは人それぞれとしても、まず「外れる」ことはないだろう堅実かつ良質の仕立て。短編ゆえに読む上での時間負担もちいさいので、同作者氏の作品に初めて触れる方でも軽い気持ちで読みやすいものかと思います。
まずお気軽に、是非お手に取ってみてください。
なお、本作は同作者氏による長編「ツインズソウル」第二章の主人公である、ルイスとティトの兄弟――「怪盗ナバーロ」を主人公に据えた短編という位置づけでもあります。
直接展開に関連がある訳ではないためべつに長編の方を知らないからどうこうということは特にないのですが、本作を御手に取ってみて「いける」と思われた方は、是非長編の方にも触れてみてほしいなぁ、と思うところです。