流星が夜を駆け抜け、世界の闇を照らすまで

比喩表現を用いて、主人公の心情を描いている。
詩的で素敵である。 

賞を取りたかったのではなく、コンサートで聞いた「空から音の雨が降ってきた」感覚を欲したのだ。
なのに、賞を求め、賞を取るために才能を求め、才能を求めるあまり、また違う別のなにか■■■■を求めるように変質していった。
その一つが「恋」だったのだろう。
ついに手に入れたと思って喜んでは地獄に落ちていく。

手に入らないから別なものに目標を変えて求め、ようやく彼女を手に入れたけど、目標を達して終わったのだ。
だから、なにもない。
付き合うことがゴールだったので、その先はない。
しかも、私が本当に求めていたものでもなかった。

「最近アカイロに染まった絨毯の上に立つ」
彼女を刺殺してしまったのだろう。
彼女を手に入れるために「這って、追い縋って、嘲笑って作り上げた虚無」の産物が、住んでいるマンションなのだと想像する。

妄想とは、■■■■を手に入れるために彼女と付き合うも手にできず、殺せば手にできると思ったけどできなかった、欲するものを追い求める執着に囚われていたことを指すのかしらん。

天を仰ぎ見ては求めているものは手に入らないと絶望したのかもしれない。
でもその光景こそ、求めていたものだった。
主人公が本当に欲したのは、流星群のように空から降る旋律。
なんと皮肉であろう。

空から降る旋律を見つけるには、自身の感受性が必要である。
主人公が本当に欲していたものは、心の中にあったのではないか。