『No vampire』
ヒニヨル
No vampire
夜空に浮かぶ細い月が、まるで不敵な笑みを浮かべているようだ。
時刻は日付も変わり、行き交う人も少なくなってきた頃。着古した白いリネンのシャツに、
街灯が少ないその公園は、日中はランニングする人も多いが、この時間になると気味の悪い
行く当ても無く男は歩いているように見えたが、一際虫が
「お前さんは新入りかい?」
男が急に、独りごちた。
ポケットからマッチ箱を取り出すと、どこからか手品のように太い葉巻を出してきて
「……最近は血を吸うのも大変だね。人間どもはあらゆる対策を生み出している」
フーッとため息を
「そう思うと、俺の産まれた時代は良かった。成り上がるのも
男は少し背筋を改めた。
「人生蚊から始まってブヨ、アブ--
余韻に
「あまり乗り気で無いのは分かるぞ。でも人生……今は蚊だから、
男の顔は、背にある街頭の明かりが
「ここで会ったのも何かの
男はそう言うと、雄の蚊をのせていた指をゆっくり
男はしばらく葉巻を楽しむと、木のベンチからふらりと立ち上がった。首筋をさすると、
「うう、
小さく悪態をついて、ぽりぽり
fin.
『No vampire』 ヒニヨル @hiniyoru
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