『Lone wolf』

ヒニヨル

Lone wolf

針葉樹しんようじゅの林を抜けると

くらい雲間から

まばゆい月があらわれた。


照らし出された雪原には

ただ

おのれが速歩したあとのみがのこっている


冷たい鼻先から

わずかに

血と汗と

懐かしいにおいを感じる


生きものをひっそりと隠した

銀の世界のどこかから

細く長い哀声が聴こえた。



     fin.

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『Lone wolf』 ヒニヨル @hiniyoru

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