コーヒーオイル

 穀物には油分がある。

 そして、椿油や菜種油のように、コーヒー豆にも当然油分がある。

 これがコーヒーオイルである。


 まぁ……あるよね。あって当然。植物だろうが動物だろうが、油分という物は、含まれている物だ。


 で、それがどうしたのかというと、このオイルにこそ、コーヒーの味を決める上で、大切な物を含んでいるのだ。

 それが「香り」成分だ。コーヒーを楽しむなら欠かせない要素。


 もちろん、コーヒーオイル以外の部分にも香り成分は含まれているが、コーヒーオイルには、香り成分が多く含まれている。


 それに、もちろんそれだけではない。

 このコーヒーオイルによって、口当たりも変わるし、味の深みも変わる。

 

 ぜひ、コーヒー好きならオイルにも注目して楽しんでもらいたい。


 では、コーヒーオイルを好みの味わいにコントロールして楽しむためにはどうしたら良いか。

 それは、コーヒーを淹れる時のフィルターで調節すれば良いのだ。


 コーヒーのフィルターには、さまざまな種類がある。

 紙や不織布のスタンダードな物、ステンレスフィルター、そしてフランネル生地で出来た布製のネルフィルター。


 すっきりとしたコーヒーをお好みならば、紙や不織布でコーヒーオイルを取り除いて飲むのが良い。


 コーヒーオイルを保ったまま楽しみたいならば、やはりステンレス製のフィルターや、紙よりも目が粗いネルフィルター。

 ステンレス製のフィルターかネルフィルターならば、いつもの紙や不織布のフィルターで濾した時よりも香りを感じるはずだし、舌に残るコーヒーオイルを感じることが出来る。


 だが、ここでコーヒーオイルを楽しみたい派に立ちはだかる壁がある。

 それは、掃除の壁!


 ええ、コーヒーを余すことなく楽しむためには、いつでもこの『掃除の壁』が、我らの前に立ちはだかる。


 紙フィルターならば、水分を絞ってそのままゴミ箱へポイで終わる後始末が、ステンレス製フィルターやネルフィルターでは、使い捨てではない分、掃除する手間が格段に増えるのだ。


 そのままジャバジャバ洗えば、コーヒーの粉は、確実に排水管に降り積もり排水管を詰まらせてしまう。

 だから、コーヒーの粉を丁寧に除去してから洗うことになる。

 

 まだステンレス製フィルターならば、コーヒーの粉を取り除く手間だけでなんとかなるが、恐ろしいのは、ネルフィルター。


 コットンの生地は裏表があり、モフモフ起毛した面とサラッとした面で、それぞれ違う味わいを楽しめるのだが、このモフモフ面にコーヒーの粉を入れて使えば、その後の掃除はとても大変。起毛にコーヒーの粉が絡んで、それを取り除くのに、努力と根性が必要になる。しかも、コーヒーの成分が出なくなるまで水で濾して、カビないように乾かすという手入れが必要になる。

 とても気軽に楽しめる物ではない。


 だが、コーヒーオイルとフィルターの話をするのに、このネルフィルターを確かめなければならないだろう! 


 そう思って、ネルドリップをうたうカフェへ行ってみた。 

 行ってみたのだよ。

 コーヒーオイルのまろやかさと香りを味わうために!


 結果……。


 新作の期間限定ラムレーズンフレーバーの生クリーム載せコーヒーに、負けました。

 ラムレーズンの香り、生クリームのコク、とても美味しくいただきました。


 コーヒーオイルどこいった。

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