第22話 ゆうきの認証
ゆうき 勇気、幽鬼、有機。
ええ、コーヒー豆の話ですから、ここでゆうきは有機のこと。
有機栽培を名乗るには、認証が必要だという話。
それが無ければ、有機栽培、オーガニックを名乗って販売してはならない。
有機とは、数々の障害を乗り越えて、初めて与えられる称号。
実際、この認証は厳しい。
一度、有機認証を得たコーヒー豆でも、その袋を規定を満たした場所以外で開けてしまった瞬間に、有機認証は外れてしまう。
もちろん、コーヒー豆を楽しむためには、豆の入った袋の封は開けなければならないから、有機栽培の豆をお買い求めになったら、存分に封を開けて、楽しめばよい。
だが、販売となると、なかなか難しい。
その豆が、どのような形で認証を受けたのかで、販売時に有機と名乗って良いのかどうかが変化してしまうのだ。
恐るべし。有機!!
ただ、科学肥料に頼らずに有機肥料で栽培しましたっていうだけで、有機栽培にはならないのだ。
では、その認証は、どこが出しているのか。
それは、農林水産省。そこで認められた者だけが、有機JAS認証のマークを貼れるし、オーガニックと名乗って珈琲豆を販売しても良くなるのだ。
「はっはっは!! 儂の畑の野菜は、化学肥料は使っとらん! 有機栽培のおーがにっくじゃ!!」
近所のお爺ちゃんが、自分の家庭菜園をそう言って自慢したとて、何も間違っていない。言葉としての有機栽培とは、そう意味だ。
だが、そのお爺ちゃんが、ひとたび有機栽培でオーガニックと野菜に銘打って、いんたーねっとで販売を始めたりした途端に、違反となる。
そう、選ばれし者だけが、堂々とオーガニックの称号を得られるのだ。
この有機栽培の認証がなければ、自称の領域を出ることはできない。
さながら、女王に認められて初めて名乗れる「サー」の称号のよう。
有機栽培とは、そういう称号なのだ。
有機栽培の認証の付いている珈琲豆に遭遇した時には、数々の試練を乗り越えて得た称号なのだと、ちょっと敬意を表してもらいたい。
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