第16話 バリ神山が、小学生男子のセクハラを!!

 バリに、神山≪しんざん≫と呼ばれるコーヒー豆がある。

 英語で読めば、ゴッド・マウンテン。

 神の山と呼ばれるバツール山という火山に広がる高原で採れる豆。

 

 その……その高原の名前が、バリの言葉で、キンタ(思考)という言葉と、マーニ(珠)という言葉を冠するのだ。その言葉をつなげて、願いを叶える宝という意味になるという素敵な名前。


 ですが、その言葉、続けて読めば、小学生向けの少年誌で、ギャグマンガの主人公の出身地か修行の場に使われそうな名前になってしまう悲劇が起こっている。

 思い出すのは、あの島の名前。

 エロ・マンガ島。

 あの島も、日本語では、とても奇妙な名前になってしまっているが、美味しい芋という意味なのだそうだ。


 もちろん、現地の言葉では、この高原は、とても素敵な名前なのだと思う。

 神の山であるバツール山の「願いを叶える宝」という意味を持つ高原で採れる豆。とても素晴らしい。

 

 甘みのあるマイルドな日本人の好みそうな味わいの高級珈琲豆。

 とても素晴らしい豆なのである。


 良かった。神山という名前で。

 心からそう思う。


 だって、ちょっと言い難い。

 お客様にご説明するのに、「はい、バリの……キンタ……マーニ高原の豆ですね」軽く、抵抗がある。


 もう一度言おう。

 このコーヒー豆の名前、神山で良かった。

 本当にそう思う。ええ、心から。 


 

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