第10話 猫フンから??

 猫の体内で発酵させた豆をフンから採取して、洗浄して焙煎した豆があるという。

 

 コピ・ルアクという豆で、ジャコウネコに豆を食べさせて作るらしい。

 コーヒー豆は、消化されずに残り、体外にフンとともに排出される。


 コピは、インドネシア語でコーヒーのこと。ルアクは、ジャコウネコのこと。

 猫君よ……ジャコウネコ君よ。

 君は、人間に利用され過ぎではないか?

 

 猫と聞けば、語りたくなるが、このジャコウネコは、厳密には猫ではない。どちらかといえば、ハクビシンなどの仲間。

 猫に姿が似ているから、ジャコウネコと呼ばれているのだ。

 そして、このジャコウネコの臭腺から出る分泌液は、香水の材料、催淫剤、皮膚病の薬に使われる。

 

 ジャコウネコ君の分泌液は、ムスクのような上質な香りを放つのだという……。

 そんな類まれな能力を持った猫。だから、絶滅が危惧されている。

 ジャコウネコ君、逃げて!! このままでは、絶滅してしまう!!


 つい猫と聞いて感情が荒ぶって、話はまるっきりそれてしまったが、今回はコーヒーが主題。

 このコーヒー、猫の糞から取り出して洗浄して……という製造方法。いくら猫好きの猫にまっしぐら人間であっても、抵抗のある製造法。


 豆の説明によれば、猫の体の中で発酵させることで、豆は苦みがマイルドになり風味が増すのだそうだ。飲んだことがないから、「だそうだ」としか言いようがないのだが。


 やはり、「だそうだ」から「でした」に語尾を進化させるためには、飲む方が良いのか?


 そこで立ちはだかるのは、お値段の問題。

 

 このコピ・ルアクは、希少豆でとても高い。豆を通販で買えば、五千円ほど。お店で飲めば、もっと高い。一杯の値段が一万円を超える値段を付けているカフェもあるという。


 うう……高い。でも気になる。


 検討しよう。検討しようではないか! コピ・ルアク君!! コナ・ファンシーやピー・ベリー君のような高級豆を淘汰した先に、いつか手に入れて飲んでみようとは、思う。


 ところで、この動物のフンシリーズのコーヒー豆。象の体内で発酵させて、それを洗浄して焙煎するブラック・アイボリーという名前の豆もある。

 猿と狸のバージョンもあるらしい。


 高級豆の世界は、奥が深い。




 

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