麻袋

 珈琲豆を運ぶ袋と言えば、麻袋。

 通気性に優れていて、丈夫。

 コーヒー豆を入れて運ぶにはも持ってこいの素材だ。


 これを珈琲に関連する業者は、「マタイ」と呼ぶ。

 

 イルガチャフをマタイで欲しいのだけれども、在庫はどうだろう? という風に使うのだ。そして一袋も、「一タイ」と読む。


 麻袋の大きさは、生産国や豆によって違うので、一袋と一言で言っても、大きさは違う。

一袋が、三十キロだったり六十キロだったり、七十キロだったり。


 三十キロの特別な豆はともかく、普通の豆の麻袋の大きさなんて物は、長い長いコーヒーの歴史の中で、そろそろ国際規格を作ってはいかがだろうか? と思うのだが、世の中そう甘くはない。

 それぞれの国が、それぞれの都合により、さまざまな大きなの麻袋を使い続けている。

 コーヒー豆の産地といえば、ブラジル、イエメン、ベトナム、ペルー、コスタリカ……仲が悪いのだろうか? というよりかは、世界各国に広がり過ぎて、収集がつかないというのが、正直なところか。


 だから、一袋と言われたら、その豆の産地、名前から大きさを調べる。

 とても面倒だが仕方ない。


 ところで、このコーヒー豆の麻袋の表面には、豆の名前などが印字されいるのだが、その素朴で粗雑な感じがおしゃれだということで、インテリアにも活用されるのだか。興味を持ったなら、その麻袋に印字されている文字を読み取って、どこの国どんな豆が入っていた麻袋なのかに想いをはせて、遠い国のコーヒー農園を想像してみてほしい。


 ほんのりと麻袋に残るコーヒー豆の香りは、異国の広い農園の空気を運んできてくれるはずだ。

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