蒼くん

@Kenta_Sasaki

第1話 転校生の蒼くん

私は紅。高校1年生だ。

最近、転校生がやってきた。


「こんにちは 蒼です よろしくお願いします」

紺色の髪に、真っ黒な目、、、妙に痩せていて、少し心配になる。

不思議な、暗いオーラを纏った彼は、この世の人ではないようだった。

だが、イケメンなこともあり、女子には結構モテていた、、、が、近付く人は少なかった。


蒼くんが転校してきて1ヶ月。もうすぐ修学旅行、ということで5人組のグループを組むことになった。

「どうしよう?俺ら、4人組だから、1人足りないぞ?」

机の上に足を乗せ、眠そうに雷が言った。

「ちょっと、机の上に足を乗せたらダメでしょ。」

マーちゃんことまいちゃんが半ば呆れながら雷を叱る。

「まあねえ。どうしよっか。」

目をほそめ、ニコニコしながら玲くんが言った。

「うーん………」

みんなで悩んでいると、教室の隅に蒼くんが見えた。まだこのクラスに馴染めていないのだろうか。

「ねえ、蒼くん、入れてあげない?1人みたいだし。」

「んえ?蒼?」

雷はそもそも蒼くんを知らないようだ。(おいおい、、、。)

「ああ、いいかもね。」「そうしようか。」

他のみんなは賛成してくれた。

「じゃ、呼んでくる!」

急いで蒼くんの元に行くと、彼はみんなをぼーっと見ていた。まるで、自分には関係がないように、、、。

「ねえ!蒼くん!うちの班に、来ない?」

「え、、、?い、いいの?」

「うん!もっちろん!じゃ、いこ!」

「えっ、ちょっとまっ、、」

「おーい!みんな!蒼くん、連れてきた!」

「蒼くん、よろしくー!」「こんにちはー。」「…よお。」

挨拶って、こんなに性格が出るんだと、少し感心した。

「あ、蒼です。よろしくお願いします。」

まだ慣れないような感じで挨拶していると、チャイムが鳴った。

「よし。じゃあ、5人組になれたな。次給食だから、当番は急げよー。」

ここは給食制で、共働きの両親がいる子が多い。蒼くんもそうなんだろうか?

「あっ、今週私当番じゃん!急がないと。」

蒼くんのことを少し考えながら、私は給食室へ向かった。

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