第7話ーすきな、ひと。
姿かたちの全く違う男女が二人。不思議なことに自分と嶺花だとわかる。いや、正確には《だった》のだとかる。仲の良い二人。俺らは恋人だった。ある年の俺の誕生日、あいつは出て行った。俺の一言で。
全てわかった。俺がなんで時間操作をできたのか。俺がスマラカタの主だったからだ。あいつのおかげだ。
君は、あの日わたしに本当はなんて言おうとしたの?
転生前の久志にずっと聞きたかった問い。やっと素直になれた。
「こんな石…」のやつ?
ずっと後悔していた言葉。この一言が最愛の君を怒らせたんだ。
ほんっとごめん!あのとき、俺は「こんな石よりさ、《君のほうが百倍も綺麗だよ》」…って言おうとしたんだ。
いつまでたってもべたな言葉しか言えないし、痛い。昔から俺は俺だったんだなと思う。
…ばか。いつまでたっても君は君だったよね。
涙が零れ落ちる。溢れてどうしようもできない。
こんな石なんて言ってごめんな。俺頭わるいからさ、考えたらずですぐ口に出しちゃうんだ。悪い癖。でも俺、魔法学校で君が死んだって聞いてから俺も崖から落ちて死んだんだ。ほぼ同じ時間に息を引き取ったんだろうな。だから、転生しても俺らは近くで繋がっているんだ、と、おも、う。
やばい、また痛いこと言ってるな。というか俺愛重すぎるな。我ながら笑っちまうぜ。
君の顔を見る。
なっなんで笑ってるんだよ!
俺はふてくされる。なんだよ…。
ふふっ、やっぱすき。
あんな嫌いになりたかった君をどうしても好きになっちゃっていた意味が分かった気がする。これは転生前から決まっていた《運命》なんだろうなぁ。
時間操作のマギアストーンはくっついて、ハート形になる。その刹那、俺と君は《 》。光に包まれた二人だけの世界で。
きっと全てうまくいく。だって俺はー
私はー
君とハッピーエンドを迎えられたから。
超すきな俺と超きらいな君 梓ゆみ檀ゆみ @akechi_kogoro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます