第6話ーきみが、いい。
…なんで嶺花が、タイムトラベルのことを??
ーいや、まだ俺の能力のこととは分からないじゃんか。何焦ってんだ、俺。一旦落ち着け。
「もし本当に、そんなことができたら久志はいつにトラベルするの?」
嶺花のマシンガン質問にちょっと怯む。麗わしい横顔にまつ毛の長さを見つけてその美しさに頭が空になる。
「今」あれ、なに言ってんだ。
「あ、そっか。」嶺花がふいっとそっぽを向く。え、なになにどういう反応!??!俺もどうすればいいか分からないって!!
!?え、どういう反応すればいいの?
「今」って何?それって私と一緒にいるのが楽しい的なそういう告白的な意味な感じ?!
いやいや考えすぎよ!時間操作について何も掴めてないじゃない。
「もしさ!私がそういう力を持ってたらどう、思う??」聞いちゃっ、た。困るわよね。こんな厨二病みたいな質問しちゃ。
「それでも、俺は嶺花がすきだよ。」
「???!」
いま俺、なにを…。行動と頭が追いつかない。
「わたし、は。えっと…」
駄目よ、嶺花。感情と使命が交差してなにも言えなくなってしまった。
「あっえっと、なにかそういう他の人と違うようなところがあっても嶺花は嶺花だろって。ただ、そういうことだから。じゃ、ちょっとあっちに京助見つけたから解散しよ。ば、ばいばい。」俺は走って嶺花から見えないとこまで走る。恥ずかしい。そういえば、俺告白の時もこんなだったな。
「待って!」嶺花の声にびっくりして足が止まる。振り向くことはできなかった。
「あのさ、ある石を探してるの。もし、私の言うことを馬鹿にしないでいてくれるなら、聞いてくれる?」ぱっと見た嶺花の顔が紅くて、少女のような表情に目が離せなかった。
全部話そう。優しい君のことだから、きっと大丈夫。
全てを聞いた。転生のこと、時間操作能力とマギアストーンについて。驚いて声も出せないけれど、さっきのあんな言葉を聞いちゃあ、下手に驚いた反応は出来ない。いつでも時間操作できるように持ち歩いてていたお菓子の缶を見る。
「その石って、これだったりする?」エメラルドグリーンに光る時間操作能力を持つ石。当てはまる。
「!!」その反応だと合っているんだな。嶺花を惚れさせる計画が、まあいっか。嶺花の大事なモンだもんな。
驚いた嶺花がぱっと動く。はやい。胸元から取り出したペンダントと久志の石を重ねる。
虹色の光が辺りを輝かせた。
その刹那、そっと君はこう言ったんだ。
「私、やっぱりあなたが好き。」
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