第4話 その後のふたり
翌日の午後、アリスは学長室に呼び出されて、こってりとしぼられた。
無事に禁書から生み出された竜を退治することには成功したが、アリスが夜中に図書館に侵入して魔法書を調べていたことが学院に知られてしまった。これによって、一ヶ月の謹慎と山のような課題、そして放課後の補習を受けることになった。
「はぁ……。最悪……」
アリスが辟易しながら補習の教室にいけば、そこには見知った顔がいた。
「ふふ、セシリア。待ってましたよ」
「なんであんたがここにいるのよ?」
セシリアは今回の事件を解決した救世主でもある。そんな彼女がなぜ自分と同じ補習教室にいるのだろうか。
セシリアは苦笑しながら答えた。
「私も夜中に図書館に行ったことがばれて、あなたと同じく一ヶ月の謹慎と補習を受けることになってしまいました」
確かにアリスが禁書に触れた時にセシリアもその場にいたが、そのことは自分以外は誰も知らないはずだった。
そんなアリスの疑問を答えるように、セシリアは答える。
「あなたとふたりきりになりたくて、自分で白状しました」
「まったく。あんたって本当にバカね」
アリスが呆れながら言うが、セシリアは嬉しそうに微笑んだ。
「今度、手を抜いたら絶対に許さないからね」
「はい。私も魔法をもっと勉強して待ちますね」
そこでようやくアリスはセシリアが自分の勝負に勝つために、魔法を勉強をしていたことに気づいた。セシリアが勝ち続ければ、アリスはいつまでも勝負を挑んでくる。その口実がほしくて、彼女は一位をとり続けていたのだ。
「やれやれ、これじゃあ、あんたとの勝負は長くなりそうね」
「ふふ。私はそれでもいいと思ってますよ」
アリスはため息をこぼしながら、セシリアと仲良く補習に取り組むのだった。
魔女と聖女のワルツ 秋月大河 @taiga07
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます