青薔薇の姫
もち彦
一枚目
外の気温が-30C°を下回った頃
私は寒々と息を吐いた。
寒いわけではない。
ただこうする事で「季節をわかろう」としているのだ。
私自身は寒さも暑さも感じない。
そういう風に【育てられた】のだ-------
ネイビーに金の刺繍が美しい燕尾服を見に纏った背の高い男はそのほっそりとした、だが特有の骨貼った手に黒い手袋を着せる
まるで流氷の上に1人立っているかのような、ほんの少し光の指すところで空を恋うように見上げる。
少しして奥からからん、と鈴の音が鳴る。
振り返ったその男は綺麗な金の髪に、不釣り合いなほど蒼く光る瞳、薄い肌の色を日に浴びて鈴の音の方に駆け寄っていく。
「待ってください、アレキ。すぐに行きます。」
金の装飾が目立つ白い大きな扉を閉め、音のする方へと駆けて行った。
青薔薇の姫 もち彦 @mochi_hico
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