憧れが焦げついても
高校生漫画家、がっ君先生。私の彼氏だ。付き合って判明したワケじゃない。ずっと彼に憧れ――追いかけてきたから。
一ファンとして、握手会に行きたい気持ちも分かる。
「がっ君先生、大好きです」
「先生の作品、愛してます」
そんな声が聞こえた。ファンが増えるのは嬉しいのに。ズキズキ胸が痛い――。
「お疲れ様、がっ君」
にっこり笑って、私は彼にハンドマッサージをする。
石鹸で洗い、アロマオイルをすり込んで。
私って、重い女だ。他の子の憧れはその場限りにしたい。
憧れ続けたら、この気持ちが焦げついた。それなのに、がっ君は、そんな私を全肯定するように、抱きしめて――。
(ズルいよ)
そんなの、もっと好きになるに決まってるじゃん。
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一週間後に引っ越しをして●●になる彼女と想い出作りをする話 尾岡れき@猫部 @okazakireo
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