おまけSS・沙幸 & 帥 in the ♡Hotel

「ほんとにホテル一棟まるごと買い取るとか狂気じみてんだけど〜!」

「狂気と正気は一字違いと言うからね」

「格好つけんな!」

「おや、こんなところにも普段は隠れて見えないお洒落。流石だね沙幸」

「淡々と服を脱がすな! 一回離れろ!」

「全く、なんだい? ようやく沙幸の想いがわかって、私達の気持ちは繋がった。今度は体の番だろう?」

「きしょ〜! 勉強できるくせに倫理観終わりすぎ!」

「倫理ね、実に厄介だよ。それに勉学との関連性はない。私は学びたいことがあるから学ぶだけだ。学年首席などその副産物にすぎない」

「嫌味〜。でもそんな躍起になって学びたいことってなんなん?」

「とある研究さ。しかし多角的な視野が必要になるからね。あらゆる分野を学ぶのはその為だ」

「研究? なんの?」

「決まっているだろう? 私と沙幸の子供が作れるように「気が早いっての!!」

「早いものか。人類史を見れば遅過ぎるくらいだ」

「難しい話はわからんけども……私個人としては期間がもうちょっとその……ピュアでプラトニックな期間があってもいい的な……」

「ピュア? プラトニック?? 沙幸にしては面白過ぎるジョークだ。愛とはエゴ。愛するとは覚悟。愛した人を決して離さず逃さず常に眼前に手中に留めておかなければならない。愛した人と一生を添い遂げたいと願うのならば、愛した人以外の全人類と戦うことすら厭わない覚悟が必要になるんだ」

「ダラダラ長尺で話す前にちょっと私のことディスんな。……てか、本当に、私でいいん?」

「無論だ」

「私は美智花ちゃんとか、にゃん子とか、あんたとかと違って……やりたいことも目標もない。目の前の楽しそうなことが一番優先だし……たぶんこの先だって一生落ちこぼれだよ?」

「重ねて言う。無論だ。沙幸が在りたい沙幸でいてくれ。それだけで私が一生、沙幸を愛するに値する」

「……真顔でよく言うよ……」

「では誓いのキスを」

「早まりすぎ! もー助けてにゃん子ぉ〜!」

「っ。いい加減はっきりしたいと思っていたんだ」

「何?」

「沙幸、猫島弥子と不貞を働いてはいないだろうね」

「変なこと言うな! にゃん子は私の友達だよ! 親友で戦友だ!」

「そうか……ふむ……」

「な、なんなん、急に神妙な顔して……」

「まぁ結婚式のスピーチ依頼は今度いいか! 据え膳食わぬは女の恥! 沙幸、覚悟!」

「結局そうなんのかよ〜〜〜!」

 にゃん子……こっちは当たって砕けるどころの話じゃなくなったよ……。

 誰がこんなことになると思ったよ。嬉しくないって言ったら嘘になるけど。

 そっちはどう? 変な論理で押し倒されてない?

 ともかく……背中、押してくれてありがとうね。

 砕けてないことを変な建物の一室から祈ってるよ〜〜〜。


×


「っ」

「どうしたの? 弥子ちゃん」

「いやなんか今……誰かから助けを求められたような……」

「む〜、二人でいる時に違う人のこと考えてほしくないな」

「ごめんごめん」

「じゃあ、もう一回言って?」

「もう……結構勇気いるんだからね?」

「えへへ、知ってる。でもそんな弥子ちゃんも可愛い過ぎて……!」

「……好きだよ、美智花」

「〜〜〜! 私も大好きだよ、弥子ちゃん」

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私達は落ちこぼれだけど、エリートな幼馴染達に好きって言いたいし好きって言われたい! 燈外町 猶 @Toutoma

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