読者への挑戦状 ~いかにして犯人は密室を破ったのか?~

 今淵は事件の真相に辿り着いたようだ。

 そして、そのための材料は読者諸君の前にも全て提示された。ここで問おう。


 この事件の犯人は次のうち誰だろうか?


 A:海野京子

 B:両国雅照

 C:堂本恒通

 D:SR-prototype42


 そして、犯人はどのようにして密室をものともせずに仙石廉次郎を死に至らしめたのだろうか? これまでのヒントをもとに考えてみよう。


・連日テレビで報道されている通り魔事件。ワイドショーなどでは、犯人の動きを再現VTRなどで視聴者に伝えることもある。事件の犯人の中には、ナイフを持って被害者に襲いかかった者もいるだろう。その映像を見た犯人がナイフを使って被害者を切りつけようとしたのかもしれない。

・現場となったラボの研究ブースでは、テレビが点けっぱなしになっていた。その画面には、通り魔事件の再現VTRが流れていたかもしれない。そのVTRが犯人に犯行を思い立たせたのならば、犯人はその場にいたことになる。

・現場の状況からは、被害者を殺害した犯人がSR-prototype42も破壊したというのは考えづらい。つまり、被害者を殺害した者とSR-prototype42を破壊した者は別なのかもしれないという仮説が成り立つ。

・SR-prototype42を破壊した犯人の狙いは、SR-prototype42やパソコンに保存されていたデータを消し去ることだった可能性が高い。犯行当時のSR-prototype42のデータを見られては困る人間がいたかもしれない。それは誰なのか考えてみよう。

・SR-prototype42は被害者がラボの研究ブース内で首を切りつけられた時、その血が付着するほどの距離にいた。被害者が殺害された後にSR-prototype42が破壊されたということは、被害者が切りつけられた時にはSR-prototype42は動ける状態だったということだ。

・SR-prototype42は人の動きを見て道具の使い方を学習する。現場となったラボの研究ブース内には、ナイフも置かれていた。

・被害者を殺害した犯人はラボの外部から侵入できなかったということは、高梨が確かめた。犯人ははじめからラボの中にいたのかもしれない。

・京子は仙石が生み出したものを利用して金儲けをしようとしていた。しかし、もしSR-prototype42に重大な問題があったとしたら、その計画は水の泡と帰す。そうならないために、彼女も何か行動に出たはずだ。


 もちろん、ここですぐに解答編に進むもよし、ミステリの読者としての矜持を示すために問題編を読み返して推理をするもよし。

 どちらにせよ、この頭脳ゲームを制するための手掛かりはあなたの手の中にある。

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