問題編③ 不可解な状況について
時計の針が午後八時を回る頃、鑑識に呼び出された今淵と高梨はパソコンのモニターを前にしていた。キーボードの前には鑑識官が陣取っている。
「何か見つかったのか?」
「はい。これを見て下さい。現場の建物に設置されていた防犯カメラの映像です」
画面には、ラボの正面入り口を捉えた映像が表示されている。ラボは車道に面しているが、前庭のようにコンクリート敷きのスペースがある。だから、画角にはラボの前庭が捉えられている。タイムコードは今日の17時2分21秒79だ。向こうからラボの入口へ人影が近づいて来る。男だ。
「これが被害者の仙石廉次郎さんです」
鑑識官がそう言って、映像を2倍速で流す。ちょこちょこと歩を進める廉次郎の姿がカメラの下を通って画角から消える。
「次が17時28分です」
映像が素早く送られて、やや薄暗さが増した前庭をこちらにやって来るのは京子だ。疲れた表情で何かを叫びながら建物に近づいて来る。
「音声はないのか?」
今淵が尋ねると鑑識官はゆるゆると首を振った。
「ありません」
京子もカメラの画角に消える。しばらくして、鑑識官は映像を止めた。17時31分だ。
「これが第一発見者の海野京子さんが警察へ通報をした時刻です」
3分ほどして、京子は建物の外の防犯カメラの画角に収まる位置にやって来て、熱心にスマホを操作しだした。すぐにスマホを耳に当てる。
「この時に両国を呼んだんだな」
今淵の言葉を裏づけるように、5分後に前庭に1人の男の姿が現れた。両国だ。彼は京子と2、3言交わしてカメラの死角に飛び込んで行った。少しして、青ざめた顔の両国がカメラの視界に入ってきて、震える手振りで京子と話し出した。警察がやって来たのは、それから2分後のことだった。京子は手を振って両国と共に彼らを建物の中へと誘導した。
井ノ沢が鑑識官の肩に手を置く。
「仙石さんがやって来るより前の映像に人影は?」
「チェックしましたが、仙石さんが16時半頃にラボを出るところ以降は何も……」
「他の入口は?」
「それが、被害者がよほど外部からの侵入を警戒していたのか、窓は潰されて、裏口のドアも開かないようにしていたようなんです」
「つまり、ラボに入るにはこのカメラの下を通らざるを得ないという訳か」
「そうなりますね」
さわらPが腕組みをして映像を見つめる。
「そもそも、仙石さんはなんでラボを出て行ったんだろう?」
「それなんですけど」
高梨が手帳のメモに目を通しながら答える。
「被害者のズボンのポケットには車の鍵と財布が入っていまして、おそらく買い物か何かに出掛けたんじゃないかと。それで、出掛けた先で京子さんたちと出くわして口論に発展……」
「それで買い物を切り上げてラボに戻って来たところを……ってことか」
井ノ沢が難しい顔をして高梨の言葉を受けると、菅は首を傾げた。
「そうなると、犯人はどうやってラボの中に入ったんだ? 仙石さんがラボに入った17時2分から海野さんがラボにやって来る17時28分の間には何も映ってないのに」
「今淵さん、犯人は京子さんで決まりですよ! 彼女以外に仙石さんをラボの中で殺害できた人はいません」
色めき立つ高梨とは裏腹に、今淵は浮かない顔をしていた。
翌日の空には厚い雲が垂れ込めていた。
窓の向こうに灰色を望む刑事部屋の中、今淵のデスクには今しがた到着した報告書が並べられている。アメリカの警官みたいにドーナツを頬張っている。
「問題です」
さわらPが静かにクイズを出題すると、今淵はジロリとエウレカの面々を睨みつけたが、何も言わずにデスクに向き直った。
「映画などでは、アメリカの警察官がドーナツ店からタダでドーナツを貰っていますが、実際にそのサービスを行っていたアメリカのドーナツチェーン……」
井ノ沢が早押しボタンを押すと、刑事部屋にピコンという音が響いて、刑事たちの目が井ノ沢の方を向いた。
「ダンキンドーナツ」
「正解!」
さわらPがうなずいた。得意げな表情の井ノ沢が言葉を重ねる。
「ドーナツ店は深夜営業してたから、防犯対策として警察官が店に寄ってくれるようにサービスを始めたって言われてるんだよね」
「アメリカの警官いいな~……」
高梨がボソリと言うと、菅が思わず笑ってしまう。
「日本の刑事さんがしみじみ言うのやめてもらえません?」
「ちなみに、ダンキンドーナツの創業者のウィリアム・ローゼンバーグは義理の妹のご主人と一緒にダンキンドーナツを経営してたんだけど、その人が後に独立して始めたのがミスター・ドーナツなんだよ」
井ノ沢が解説を加えると、菅が何かを思い出したように口を開いた。
「なんとなくドーナツからの繋がりでサンドウィッチマンのこと思い出したわ。お笑い芸人さんの方じゃなくて、首から身体の前後に看板をぶら提げて宣伝してる人のことね」
「じゃあ、サンドウィッチマンって名付けた人は誰か知ってる?」
「個人が名付けたの?」
菅が困惑する中、今度はさわらPがボタンを押す。
「チャールズ・ディケンズ」
「さすが、さわらP」
井ノ沢が拍手を送る。菅が悔しそうに頭を掻いた。
「ディケンズは俺でも知ってるぞ」
彼らが盛り上がる前で、高梨がブツブツと資料の内容を口にしている。
「死亡推定時刻は17時から17時半の間……まあ、状況的に考えればそうか。死因は頸動脈を傷つけられたことによる失血性ショック。うわ……」
高梨が反応を示したのは、仙石廉次郎の遺体写真に目をやったからだった。被害者は血の海に横たわり力尽きているが、その血塗られた両手は首の近くにあり、噴き出る血を手で押さえようとしていた様子を物語っている。遺体のまわりには研究ブースに雑多に置かれていたアイテムが散らばっている。
「凶器になったナイフは、SR-prototype42の学習のためにあのブースの中に用意されていたアイテムの中のひとつだったみたいですね」
菅が高梨の手元を覗き込んだ。高梨はズタズタになったSR-prototype42の写真を指ではじいた。
「そうだったみたいですね。ただ、僕にはこのロボットが一体どんな役割を持っていて、どんな機能があるのか分かりませんでした。昨日、両国さんが説明してくれたはずなんですけどね……」
昨日の事情聴取の後、現場に残されていたロボットについて、両国に話を聞く機会が設けられた。
「ガイシャが殺害された時、ブースにはあのロボットがいたはずだ。だから、捜査のために知る必要がある。あのロボットが一体何なのかってことを」
今淵が事情聴取の時よりも柔らかい口調で尋ねると、両国は仕方がないと言うように口を開いた。
「SR-prototype42は文字通り、プロトタイプの自律支援型ロボットアームです」
「車輪がついてるってことは、動き回れるってことか」
「そうです。無線電源に接続できる研究ブース内であれば自由に動くことができます。SR-prototype42にはカメラとセンサーが搭載されていて、障害物とそうでないもの、動体と生き物を区別して、それらに応じて行動することができます」
菅が興味深そうに身を乗り出してくる。
「どうやって生き物とそうでないものを見極めるんですか? 生き物じゃなくても動くものはありますよね?」
「生き物を画像学習させています」
「で、こいつは何を想定して作られたんだ?」
奇妙な形状の自走式ロボットアームの写真に今淵は目を細める。
「種類を問わない作業を行うことを想定しています。例えば、物を運ぶとか修理するとか部屋を片づけるとか、そういう多用途の状況を想定しています。それに加えて、ボディ・シェアリング技術で遠隔操作を行うことも目指しています」
首を傾げる刑事2人に菅が噛み砕いてやる。
「ボディ・シェアリングっていうのは、ロボットアームの手の感覚を遠隔地にデータ化して送信して、操作をする人が着けているグローブにも触れた感覚や温度などを再現する技術のことです。離れた場所で操作していても、例えば、水の入ったバケツをロボットアームで運ぶと、バケツの中で水が揺れている様子も手から伝わってくるんです」
「ってことは……、こいつを使って離れた場所からガイシャを……」
両国は慌てて首を振る。
「ボディ・シェアリングの機能はまだ搭載されていないんです」
今淵は舌打ちをして顔を背けた。
「SR-prototype42は、人間と同じようにボディ・マッピングを行うことができ、手に持った物体や道具を自分の身体の一部として認識します。カメラによって物体や道具の形状や材質、機能を推測し、その推測を自ら触れたり掴んだり動かしたりして確かめながら、目的を遂行するために利用します」
菅が、ほぅ、と息を飲む。
「自分から学習するんですか? 確か、何年か前にそんなロボットアームの学習モデルがありましたね。初見の物体や道具でもその使い方を自ら学習できるという」
「はい。その学習モデルを先生がアメリカで学んで、ここでも採用しています。他にも、多量のデータを飲ませてニューラルネットワーク学習をしていますし、人の動きを観察してそこから道具の使い方などを学習することもできます」
「へえ、すごいですね」
★★★ヒント!★★★
SR-prototype42は道具の使い方を人の動きから学習することができる。では、ナイフの使い方を人の動きから学ぶこともできるのではないだろうか? その人の動きがどこかで見ることができたかもしれないぞ!
「何もすごかねえだろうがが。目の前で人が殺されてんのに、止めることもできやしなかったんじゃねえか」
今淵が吐き捨てるように言うと、菅はバツが悪そうに頭を掻く。両国も口を真一文字に結んで俯いてしまった。
高梨は短く溜息をついて資料に目を戻した。
「凶器のナイフをはじめ。研究ブース内からは被害者と両国さん以外の指紋は検出されてないんですね。日常的に触っていたでしょうから、不思議ではない。指紋以外には、SR-prototype42の手で触れられた痕跡はあり、と。SR-prototype42の手の表面は滑りにくい素材でできていて、その痕が残るんですね」
じっと考え込んでいる今淵を横目に、高梨は手の甲で報告書の束をピシャリと叩いた。目の前にいる上司のモノマネのつもりだったらしいが、当の本人はモグモグやるだけで反応を示さない。
「京子さんが街で被害者の廉次郎さんと口論しているのを目撃したという証言もいくつか入ってきてます。きっと日頃から馬の合わなかった2人の間には積年の恨みのようなものがあったんでしょう。京子さんは弟の遺産を目当てに、ラボまで彼を追いかけてハンカチかなにかで指紋が残らないようにナイフで殺害。そして、自ら警察を呼んだんです。決まりですよ、今淵さん」
珍しくまくし立てる高梨を無視して、今淵はデスクの上に並べた現場写真を眺めていた。ズタズタにされたロボットとパソコンなど、床に転がった消防斧……。
「消防斧から指紋は?」
「検出されてません」
「ロボットが触った痕跡は?」
「いえ、それもないですね」
今淵は思考を巡らせながらホットドッグをひと齧りする。
「研究ブースには防犯カメラはないんだよな」
「ありませんよ」
「犯人はそのことを知っていたのかもしれないな」
さらりと言ってのける菅に井ノ沢が「ああ、そうか」とうなずいた。高梨が慌てて尋ねる。
「どういうことですか?」
井ノ沢が答える。
「消防斧は指紋が残らないように使われました。でも、もし研究ブースに防犯カメラがあれば、指紋が残らないように工夫をしても意味がない」
「ああ……、なるほど。いや、でも、結果的に防犯カメラがないということを確認しただけなんじゃないでしょうかね」
さわらPが参戦する。
「いや、それだとおかしいことになりますよ。防犯カメラがどこにあるかを完全にチェックすることは難しいです。映像が残っているかもと犯人が思ったのなら、まずは防犯カメラのデータがどこに保存されているのかを探すでしょう。でも、それも難しいことです。ならば、犯人はあのラボの中の全てのデバイスを破壊しなければ満足できないはず。しかし、そうはなっていなかった。逆説的に考えれば、犯人は研究ブースに防犯カメラがなかったことを知っていたとする方が自然です」
「それは机上の空論だな」
東大を出たエウレカのメンバーたちに今淵が食ってかかる。
「犯人は顔を隠してラボに入ったかもしれんだろ。それなら、防犯カメラを探す必要はなかったが、指紋は残したくなかったと言える」
「え、じゃあ……」
高梨の言葉を遮って今淵が続ける。
「だが、そもそも犯人はラボの唯一の入口である正面に近づいてすらいない。この議論自体が、犯人がラボに侵入したという前提で始まってるが、俺たちはまだその先に進めないままだ」
★★★ヒント!★★★
仙石を殺害した犯人は本当にラボの外部から中に侵入したのだろうか? もし犯人が初めからラボの中にいたのだとすれば、犯人の候補はかなり絞られるはずだ!
「被害者の次に現場に近づいたのは京子さんですから、やっぱり……」
今淵は、う~ん、と唸り声を上げた。
「防犯カメラの死角にいた時間でガイシャを殺してブース内を破壊、か……。不可能じゃない。あの女がロボットをぶっ壊したのは、犯行を目撃されたからか」
「京子さんは被害者からあのラボの財産全てを奪い取るつもりだったんです。それが、口論をきっかけに衝動的に形になってしまったというわけです。だからでしょうね、防犯カメラで犯行が可能なのが自分だけだと気づかないままになってしまったんですよ……」
今淵は不機嫌そうに食べかけのホットドッグをデスクの隅に放り投げた。
「うるせえ。考えてんだから。ゴチャゴチャ喋るな」
今淵の理不尽な一言に高梨は表情を引きつらせる。
「えぇ……、すいません……」
今淵のデスクの端からホットドッグが滑り落ちた。
ラボの裏手から高梨が汗だくになって戻って来た。
「やっぱり、ないですって……!」
「探せばあるかもしれないだろ。本当に全部見て回ったのか?」
「ほ、本当……ですよ……」
クタクタになった高梨が今淵を恨めしい目で睨みつける。温かい缶コーヒーを手にした井ノ沢がやってくる。
「まだ探してたんですか、ラボへの侵入経路」
「全然見つからねえんだ」
今淵が報告するが、高梨は慌てて間に入る。
「いや、僕が……、僕が探してるんですよ!」
「物理的なペネトレーションテストっすね」
のんきな口調でラボを見上げる菅もコーヒーを一口啜った。さわらPがペットボトルの水を差し出す。
「侵入経路がないっていうのは、具体的にどういう状況なんですか?」
水をペットボトルの半分まで一気に減らして、高梨は答える。
「まず、窓という窓は嵌め殺しになってますし、裏口のドアも開かないようになってるんです。人が入れる隙間なんてもってのほかですし、どこかに壊されたような跡もありませんでした」
「やっぱり無理か」
今淵が表情ひとつ変えずに結論づけるのを、高梨は目を丸くして見つめた。
「最初から侵入経路なんてないと思ってたんじゃないですか……! っていうか、犯人は京子さんで決まりですって!」
「やかましい。だが、こうなると、本当にガイシャの姉の疑いが濃厚になるな……」
井ノ沢が缶コーヒーを干してひと息つく。息が白くなるにはまだ数か月かかるだろう。
「なんだか、今淵さんは海野さんが犯人じゃないと考えてるみたいですね」
高梨が汗を拭いて今淵に詰め寄る。
「え! 本当ですか! なんで、どうして?!」
「ええい、近寄るな!」
今淵が革靴の裏で高梨を蹴り飛ばした。さわらPが首を捻る。
「そう考える理由は何ですか?」
「凶器のナイフにはロボットが握った跡があっただろ。だが、あの女の指紋は残っていなかった」
「だから、京子さんはハンカチで指紋が残らないように……! 彼女、ハンカチも持ってましたし!」
めげずに詰め寄ってくる高梨に、今淵は静かに反論する。
「普通、指紋が残らないようにと思っている犯人はナイフの柄を念入りに拭き取るものなんだよ。そうなれば、ナイフの柄は綺麗な状態だったはず。そうでなくとも、ハンカチで包んだナイフの柄からは指紋やロボットの握った跡なんかも消えちまうだろ。だが、現実はそうではない」
高梨が愕然とした表情で頭を抱える。
「え……? じゃあ、一体どういうことです?」
「犯人は京子さんではない……」
菅がそう言葉をこぼす。聞きたくなかったセリフを耳に入れたように、高梨が首をブンブンと振る。
「じゃあ、誰が犯人なんですか! 京子さん以外にラボに入れた人間なんて……!」
「だから、それを調べてるんだろうが」
高梨は残りの水をゆっくりと飲み干して落ち着きを取り戻すと、静かに口を開いた。
「犯人が京子さんだったら、ロボットを破壊したってことで、ひとまず器物損壊で引っ張ってじっくり話を聞けば全部解決だって思ってました……」
「その狙いもうまくいかなかっただろうな」
「なんでですか?」
「あの女が主張してるらしい。ガイシャが死んだことで、ラボもロボットもデータも相続されている状態だから、全てあの女の所有物になってる。つまり、あの女は自分のものをぶっ壊しただけだ。器物損壊には当たらない」
今淵は苦々しい表情のままラボの中に入って行く。その後を追う高梨は顔をしかめる。
「じゃあ、ダメじゃないですか」
今淵は振り返って高梨の頭を引っ叩いた。
「だから、そもそも最初から間違ってたんだよ、お前は」
「警察署で早くデータなんかを引き取りたいって言ってたのは、そういうことだったんですね」
井ノ沢が納得したようにうなずいた。今淵は現場となった研究ブースに目を向けながら、吐き捨てるように応じた。
「堂本との宣伝の計画をさっさと進めたかったんだとよ」
「計画を……」
★★★ヒント!★★★
京子は仙石のロボットを宣伝したがっていた。そのためには、SR-prototype42には危険性がないということが絶対条件だ。もし、SR-prototype42に問題があったとしたら、守銭奴の彼女はどうするだろうか? よく考えてみよう! 殺人とSR-prototype42の破壊は別の問題として考えるべきなのかもしれないぞ!
井ノ沢が何かに思い至ったように顎に手をやったが、今淵はブースの中に足を踏み入れて、事件当時の状態のままになっているスペースを見回した。
「あっ!!」
突然、鼓膜を破るかというほどの大声を上げたのは高梨だった。
「うるせえ……、なんだ一体?」
「18時54分!」
高梨が自分の腕時計を指さしている。
「だからなんだ」
「今日の『帝大王』にこのエウレカの3人が出てるんですよ! 録画し忘れた!」
エウレカの面々が顔を見合わせる。
「そういえば、今日オンエアだったっけ」
慌てふためく部下に今淵が白い目を向ける。
「お前、ファンだったのか?」
「当たり前じゃないですか!」
高梨は研究ブースの壁に設置されているテレビを発見して、勝手に電源を入れてしまった。
「お前、ここは家じゃねえんだぞ」
今淵の注意も空しく、モニターが光を放つ。前番組のニュースが流れだす。
『速報です。今度は福岡市の繁華街で通行中の男女4人が男に包丁のようなもので切りつけられる事件が発生しました。犯人の男は駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されたとのことです。繰り返します……──』
「スプリー犯ってやつですね」
さわらPがそう呟くのを横目に、今淵は静かに口を開いた。
「ああ、そうか、そういうことか」
「今淵さん、『帝大王』始まりましたよ」
手招きする高梨の頭を叩いて、今淵は言った。
「バカ野郎、事件は解決だ。署に戻るぞ」
これには高梨だけでなく、エウレカの3人も驚きの顔を向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます