古城の四季 🏯

上月くるを

古城の四季 🏯



天守より眼下になびく花の雲

二之丸のざはめく気配花の宴


桜蕊降るやウクレレ弾き語り

お方さま愛でし座敷の白牡丹


おぼろ夜の商人町のまちむすめ

はうじ茶の香る城下や菜種梅雨


あばれ川治る城主夏の風

門番の黒き幻影夏さかん


緑蔭に人力車夫ら憩ひけり

裏切もいまは昔の晩夏かな


良夜なる月見櫓に雅楽の音

姫君の小さきかんばせ十三夜


秋澄みて城下を奔る水の音

白鳥の舞ひ来し堀の玲瓏と


秋麗やサムライ求め異国から

星飛ぶや鳴りを潜めて猫と鳩


青空に放つ蓮の実外の堀

内堀の水草紅葉や太鼓橋


雪巓のするどく尖る花頭窓かとうまど

苔むせる野面積なり春近し




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