第4話 (おまけ)
今回、美月視点です。
_____________________________________
月明かりに照らされる路上で行われた、女の子に対する女の子の告白。その幕引きを街灯の陰から見守っていたぼく・瀬名美月は
「また、雪奈にはぼくのことを選んでもらえなかったな」
とため息混じりに呟く。
実はぼくが雪奈と出会ったのはこの世界が初めてじゃない。ぼくは大好きな相手――雪奈の彼女になるために、もう何度も何度も2023年6月を繰り返す時の旅人。
同じ時間を繰り返すたびにぼくの苗字や周囲の環境はガラッと変わった。でも変わらないものが2つだけあった。それはどの世界線でもぼくが勉強も運動もできる『学年一の美少女』ことと、なんらかの形でぼくの片思い相手・雪奈と出会うこと。
これまで辿ってきた世界線で、ぼくと雪奈は実に様々な関係になった。ある時は雪奈はライバルで、ある時の雪奈は幼馴染で、今回の雪奈はぼくにとって双子の妹だった。そしてどの世界線のぼくも雪奈に一方的に好意を抱いては、ぼくの恋は無惨に打ち砕かれる。これまでの旅はその繰り返しだった。いつも決まってぼくに付与される高スペックは雪奈を悲しませることはあれ、ぼくが雪奈に振り向いてもらうためにはなんの役にも立たなかった。
そして。この世界線でもぼくは雪奈の彼女になれないことが今、この時間をもって確定した――。それを確信すると。ぼくは懐から妖刀・時渡を取り出す。この刀で絶命した人間は同じ時をもう一度繰り返せると言う妖刀。この力でぼくは何度となく同じ時を繰り返してきたのだった。
ぼくは小刀の銀色に輝く刃を自分の首筋に押し当てる。血が首筋を流れ、絶命するまさにその瞬間。
「せいぜい幸せになってよ。ぼくを選んでくれなかった、この世界線の雪奈」
そう呟いて、ぼくの目の前は真っ暗になった。
_____________________________________
ここまでお読みいただきありがとうございました。
あんまりこういうこと言っていいのかわかりませんが念のため。もし仮にこの作品が読者の皆様の心に刺さるものがありましたら☆評価や↓のコメント、いいねなどで教えてくださると嬉しいです。
わたしは、友人キャラにしかなれないから 畔柳小凪 @shirayuki2022
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます