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「皆早く早く!」


三女は先頭を突っ切って急かしてくる。


「まったく…」


あの日、あれから私は救急車を呼んだ。

警察を呼ぶと怪しまれるかもしれないからだ。

警察は、到着した救急隊員の人に呼んでもらい、事前に決めていた内容を現場の警官に話した。


毒に関連するものはその時既に収集車によって回収され焼却炉のなかで灰になっていた。

非合法関係の繋がりも全て消してある。

その時、二度と足を踏み入れるなと忠告してそいつ等は私達の住む街から姿を消した。

だから、会うことなんてきっと無いと思う。

お父さんと妹達を幸せにするには都合も悪いしね。


そんな忠告して、消えたと言うことは協力してくれたのも同情からだろうし、気遣われたんだろうね、きっと。


幼馴染みは保護観察処分というレッテルを免罪符にイジメを受けていたらしく、それに堪えられずに身を投げた。

自分の手で出来なかったけど、結果良ければ全て良し。


それから簡素な葬式を上げてお母さんは墓の中で眠りについた。

更に半年後、親権はお父さんの方に渡った。

するとお父さんは私達を引き取ってくれた。


心の整理が全部ではないが、私達に対しては完全に割り切れたらしい。

それを聞いて、一番に私達はお父さんに飛びついた。

お父さんを中心に抱きつくと、全員ダムが決壊したように泣いた。


本当に嬉しかった。

なんのしがらみもなく家族として過ごせる事がこんなにも幸福だと感じた瞬間はあの時だけだろう。


「あはは!本当にあの子は仕方ないよね。こらぁ〜待ちなさーい」


次女は徐々に笑顔が増えていき、今では笑顔が絶えない。ただ、私達以外の人間に対して恐怖症を患ってしまってしまい、現在高校一年生でやっと女子に対しては話し掛けられるようにはなった。年上の女性となるとまだ無理だ。


三女は五歳から成長して小学四年生。

お母さん達との事は忘れてしまったが、年上の女性を時々毛嫌う事がある。

きっとその女性達はそういう人達なのだろう。


だからそんな奴等にはこっそり言ってやる。

私のお母さんは周りを不幸にして、最後に死んだ。そうなりたくなかったら家族を大切にしろ、って。


今はとても幸福だけど。


「私達も行こ、アナタお父さん



――――

どうも、翔丸です。


あらすじに書いたような作品を読んでしまい。女性視点なんですけど、どうしても割り切れず夫側が悲惨すぎると心がヘラってしまいそうになり書きました。



反転勇者の方もしっかり少しずつ次話を書いてます。








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ヘルハピリズム 翔丸 @morimaru

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