第12話 スパイのコイと中学1の僕
コイは聖なる泉の番人を手にかけた。通常この泉は電磁波の防衛網で囲われている。番人がいない今、出入りは自由だ。コイはダリアンに連絡をとり聖なる泉は今が奪還の時だと言った。
ダリアンと共にヘビ族がたくさん異空間よりバルチアに降って来る。バルチア各地で戦いが始まる。コイが「もうすぐバルチアは、ヘビ族ダリアンに乗っとられる。これで私は解放される。」コイの緊急の糸が切れた。
その時だった。バルチアの兵士に捕まった。
アオの部隊が報告する。標的“コイ”確保。
コイはバルチアの城へ連行された。
コイは城の広間でうなだれていた。僕はコイと対面した。コイの影がやはり薄い。
もちろんアオもいる。「コイ、君はヘビ族のスパイだったのか?」
「そうです。私はヘビ族の言いなりのスパイです。平和な鯉の里にある日突然ヘビ族が来ました。あっという間に私達の池は制圧されました。
多くの鯉の生命の安全と引き換えに私達、鯉族の中よりヘビ族への忠誠を誓うために生け贄が選ばれました。それが私だったのです。私は、密かなにこのバルチアに潜入し水の異世界バルチアの民になりすまし王様、レンあなたを追跡していました。“聖なる泉を奪うためです。”そしてダリアンとの戦いで王様レンが人間界に時空空間移動した時点で、ダリアンからの命令でレン、王のあなたを殺すための命令が下ったのです。あとは、人間界の鯉としてあの駅の池でずーっと一人“その時”を待っていました。私には私の使命があります。これ以上話すことはありません。」僕はこのバルチアの王としてのスパイコイに対する処分は既に決定していた。しかし僕は少しだけ同情という名の人間的な感情に揺れた。記憶を失ってたとはいえ、人間界で普通の中学1年をしていた僕の脳内、感情が揺らぐ。しかし今、僕はこの水の異世界の民を守らなくてはいけない。王としての決断。「コイ聞きたいことがある。正直に答えてくれ。人間界での生活は楽しかったか?」コイの影がまた薄くなる。「楽しかったわ。力も能力も何もない人間が普通に平和に生活している。下等生命体なのに、
みんな幸せそうに笑っている。そんなバカにしていた人間に命を救われた。笑っちゃうでしょう。その助けてくれた人間を一緒に探してくれたのが、敵の王なんて。」
僕は人間ぽく「そうだな。」
コイが「レン王、ヤマダカイくんを探してくれてありがとう。」
僕は山田先生を思い出していた。人間の中学生も悪くなかった。コイが「今ダリアンは、このバルチアに侵攻している。私が聖なる泉の番人を殺したからよ。泉の上空に異空間の扉ある。その扉を早く閉じて。レン早く。」
そう言ってコイは倒れた。僕は、あからさまに
「スパイのコイは今死んだ。アオ、死体を運べ。」僕は目で合図した。アオは全てを承知しているようだ。同時に僕は命令を下した。
「聖なる泉へ向かえダリアンを討伐する。」
僕は空間移動で聖なる泉に到着。「ダリアン、今度こそ貴様を仕留めてやる。」
白い鱗の体に赤く光る眼、ヘビの眼。ダリアンは全エネルギーで僕に立ち向かってくる。”目覚めよ”脳内に声が響く。もう一人の僕サラセニアが僕に言う。
”そろそろ本気出しますか。レン。”僕の全身が強く放射線に赤く光り放つ。敵も味方もすべての生き物が僕の赤い光にあたり狂いだす。”誰か僕を僕を止めてくれ。”僕は自分自身をコントロールできないまま、ダリアンと戦いを繰り広げる。僕の中の僕が「プッ」何かが着れた。サラセニアの僕が狂ったようにダリアンと打ちのめす。
「ドッターン」ダリアンが地面に叩きつけられる。勝った。僕の勝利だ。「WOOO---」歓声がこだまする。僕は群衆の喜びの渦にまぎれ城へ戻る。アオも一緒だ。アオは僕の意志を読み取り別室でコイを寝かせていた。コイが目覚める。
「コイ、この世界の君は死んだ。君の居場所はここじゃない。
君は君のいるべき場所に行きべきだ。」
僕は両手からエネルギーの光をコイに浴びせた。コイの線が色を戻した。桐ヶ丘中等部女子の制服。
「コイ、僕の学校のタイムマシン覚えているかい。」「理科室の?」
「そうだ。そこに君を飛ばす。そこから先はコイ、君自身で生きてくれ。」大きな光がコイを包んだ。そしてコイは消えた。消える寸前「ありがとう。」の声が。
「アオ、これでよかったんだよな。」アオは黙って頷いた。
異世界のコイは人間界へ戻っていった。あるべき場所。いるべき場所。
君のクラスにも異世界からのクラスメイトがいるかもね。
水の異世界の王、レン&サラセニアは
happy endを好む。
タイムマシンと水の異世界 京極 道真 @mmmmm11111
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