第5話 牛頭山の魔王 その5
はぁ?である。
俺の予想では……。
俺が、でたらめのつもりで妹のレイラに語ってみせた剣聖の物語。その『千年求敗物語』は俺の前前前世の記憶が無意識に作用して作り上げた、でっち上げではない本当の千年求敗の物語……だと思っていた。
俺は邪神との死闘で前前前世の記憶と向き合って以降、想像以上に効果を発揮した修行法や、何故か出来てしまう必殺技……それらすべてが、千年求敗としての自分の前前前世の知識のおかげであると、そう解釈していたのだ。
だから、俺は意図せずして、本当の『千年求敗物語』を妹に語っていたのだと……そう思いきっていた。
確か、あの物語に出てきた怪人の名前は……菜っ葉だったかハッパだったか……。なんとも強そうな筋肉ムキムキのおっさんキャラにちょうどいい名前だったはずである。
だが、現実はそうでは無かったらしい……。
いやいや、概ね合っているはずだ。だが、どうにも肝心なところで人名や技……その他修行方法などが間違っているらしいのだ……。
どうしてだろう?
なんて俺は思いはしない。
その理由ならわかりきっている。なぜなら、この『千年求敗物語』は、完全オリジナルの物語ではなくて、あらゆる場面で現代日本のアニメ、漫画、小説に映画から好きな場面を切り取った……俺好みのコラージュ作品だからである。
つまりだ。この世界に千年求敗は実在したが、彼はけっして『か◯はめ波』など撃ったりはしないのである。
てな感じで、ファーストコンタクトはなんともギクシャクとしてしまったが……。
この魔王殿にて俺のことを迎えてくれた3人の人物。結果的に言えば、彼らは俺のことを煮て食おうとも、焼いて食おうともしなかった。
一番初めに俺に抱きついてきた幼い少女。彼女の名前はルーナ。聖教会に属し聖女と呼ばれる存在らしい。そしてその横に付き従うのが聖女の教育係のヨランダである。
初対面でお兄ちゃんと叫びながらハグをかまして来た聖女とは異なり、ヨランダはあくまでも俺を初対面として扱ってくれた。
だが、俺はこのヨランダとは初対面ではないはずだ。
良く漫画などで出てくる頭の良いやつ特徴、切れ長の冷たい目……。そしてクイッと尖った眼鏡を持ち上げる仕草……。それを俺は忘れるはずがない。
こいつは……。俺を神殿の地下牢に閉じ込めた女だ。
そして……。この一番目立つがたいの大きな戦闘民族の下級戦士……いや名門出のエリート戦士的風貌のおっさんこそが……この魔王殿の
さて……。
この3人の人物……。千年求敗とは確実に面識があるようなのだが……
彼らの年齢がいったい何歳なのかという疑問は一旦置いておく。なぜなら、まず俺は自分がいったい何者なのかを知らなければならないのだ。
◆◇◆◇◆
お知らせ
ここから、一旦『千年求敗物語』へと移る予定だったのですが、今までの物語を切って過去編をする勇気が私にはありません。
そこで、外伝として『千年求敗物語』を別で立ち上げました。一応こちらの本編は外伝を読まなくても大丈夫なように進めて行きますが、興味のある方はそちらもよろしくお願いします。
外伝には、本編でカイルがレイラに与えた修行の元ネタや、邪神との闘いでレイラが試した戦法などが登場する予定です。
また、あの人騒がせなメイドの過去も……分かるかも知れませんw
『でっち上げの剣聖譚『千年求敗物語』〜妹を騙す為にでっち上げた物語がいつの間にか剣士達のバイブルになりました〜』
https://kakuyomu.jp/works/16817330668276253420
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