最終話 不思議なメッセージ
「顔が赤いですよ? どこか具合は悪くないですか?」
中学2年生の春休み前、私が教室の席で座っていると、そんな風に担任の先生から声をかけられました。
私は自分の体の不調に気付いていませんでしたが、実際は席で俯いていたので辛かったのかもしれません。
すぐに保健室に連れて行ってもらって、父の車かタクシーか徒歩かは忘れてしまいましたが家へ帰りました。
家に着いてから途端に息苦しくなり、測ってみた熱が43℃を超えたところで怖くなって見ていないのですが、高熱が出ていたことには間違いがなく、私は不安感に襲われたのでした。
父は仕事があったので、母の兄である伯父さんの運転する車に乗せてもらって病院へと向かいました。
今こうして振り返るとタクシーでも良かったように思いますが、伯父さんの車で本当に良かったなと感じました。
なぜなら私の全身には、キリンのようなまあるいアザのような発疹が出ていて、1件目の大学病院では受け付けていないですと一見さんお断りをされてしまったからです。
伯父さんが来てくれたお陰で車に戻ることが出来た私は、人生の中で経験したことのないほどの喉の渇きを突然感じ出し、今よりも人見知りだったのですけれど伯父さんへ「のどかわいたぁ~……」と助けを乞いました。
でも母の隣りでぐったり横になる私を見て、伯父さんはとても焦った様子でした。返事をしてくれましたが、窓の外に見える自販機を通り過ぎ、次の病院へ向かってくれました。
私の頭の中は、喉の渇きのことでいっぱいでした。
病院へ着くと、私は車椅子に乗せられていました。
真っ直ぐと姿勢を保てなくて、背骨がないみたいにぐにゃりと体を曲げて頭を倒していました。
この時にはもう私の視界は狭くなっていて、記憶が飛び飛びになっていました。
「気持ち悪い……」
気付いたら診察室に着いていた私は、お医者さんの前でそう呟いた後、完全に意識を失いました。
当然(?)手術をしたらしいのですが、途中で打った注射が合わなかったみたいで容態が急変してしまい、今夜が山という宣告もされたようです。
ですが私は見事山を越えて、植物状態になりました。
ではみなさん、ここまでで不思議な体験なんて起きてないじゃないかと思いますでしょう?
実は私、こうなる前に生きるかどうかを選択させられていたのです。
それは確か病院へ運ばれる1週間ほど前から始まりました。
私はふと気付くと、頭の中にあるものを思い描いていました。
それは1度しか遊んだことがないドラ〇エのような画面です。
全体が真っ黒なのですけれど、下の方に白く
▷生きる
死ぬ
というワードとカーソルが現れました。
そして私は必ず、生きるにカーソルを合わせていました。
何でこんなことを考えているのだろうと思ったりもしましたが、寝起きだったりトイレだったりと、ぼーっとしている時が多かったので、半ば無意識に選んでいて気にしていないこともありました。
その選択が功を奏したのか、私は
訊くところ……といいますか、それしかないですけれど、予防接種は両親がし忘れていたようです。もー。
ちなみに2週間ほど植物状態で、目を覚ましたその後は歩けるように1週間くらいリハビリをして、でも病院の決まりで1度退院しましたが、再び薬疹が出ている(キリン)状態だったので引き返すことになって、さらに2週間ほど入院をしました。
春休みが終わってしまっていて、さらにはクラス替えをしているという最悪な状態で、私はみんなよりも1か月近く遅れて中学最後の1年間をスタートしました。
中学1年生の冬休みに転校して、3年生も既に出来上がった輪に入るという経験をした私。つ、辛かったです~。
でもまぁ……生かしてもらえたから十分、感謝感謝か。
不思議なメッセージも重要だったかもしれませんが、担任の先生、伯父さん、病院のみなさん、お父さんお母さん、私を助けてくれてどうもありがとうございます。
何かが1つでも違っていたら、全てが変わっていて助からなかったかもしれません。
そしてもちろん皆様にも感謝しています。
こんな怪しい話にお付き合い頂きまして、大変ありがとうございます。
信じるか信じないかは、皆様次第です!(笑)
不思議な体験をした。でも怖くない話。 りほこ @himukai
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