第5話 幽霊に遭遇その3~宇宙人編
幽霊ではないのですが、私が宇宙人に遭遇したお話を——
え? ああ「お前、頭狂ってんの?」と思ったのですか。
解りますよ。
でも
では早速、始まり始まり。
季節がいつだったかは忘れましたが、流行り病が始まる少し前の時期。
私はとあるオカルト記事に出会いました。(記事自体はもっと古くからあるものです)
それはとてもロマンに溢れていて、動画共有サービスの都市伝説系チャンネル等でも取りあげられるくらい人気がありました。
人様の作品なので内容は書けませんけれど、ある男性が宇宙人に遭遇するお話でした。
私はその中でもある設定が気に入っていて、「自分の場合だったらどんな風に見えるんだろうなぁ」と30歳過ぎとは思えない内容の妄想を楽しんでいました。
そうやって頭の中がキラキラしていた時もありましたが、こんな私もお母さんなので第一は息子。その記事のことばかり考えている余裕はありませんでした。
しかし息子とてんやわんや賑やかに過ごしていた、そんなある日の夜です。
私は宇宙人に遭遇しました。
当時、怪獣から進化して、まだ魔王になっていなかった王様の息子(外では王子様)の隣りで眠っていると、私は不意に視線を感じて目を覚ましました。そして何の
すると、はい。部屋に宇宙人が居ました。
……付いて来れていますかね? 続けます。
宇宙人は1体で、赤い2人掛け用のソファーに寄りかかり足を伸ばして座っていました。
ソファーは私から見て右側にあります。壁にくっつけて置いてあったので、L字を反転したかのような格好で、宇宙人は座っていました。
ここで大事なのが、ソファーに掛けているわけではなく、座っているとふくらはぎに当たる部分に背中を付けて寄りかかっていました。
寄りかかっているといっても、横柄に踏ん反り返っているわけではなく姿勢正しくしていて、でも足を伸ばしていました。
宇宙人の顔には、2つの大きな瞳だけがありました。瞳の色は黒で、人間のように白目の部分はありませんでした。
瞳が本当に大きく、けれどアイドルの目を見た時のように、「吸い込まれそう」なんて感想はなぜか
体は顔に比べて細く2頭身くらいで、肌の色は薄いグレー。なのでリトルグレイを想像していただければ良いかと思われます。
私は宇宙人に見つめられ、心がときめきました。怖いという感情はありません。
なぜなら私も宇宙人も悪いことなんてしていませんし、何より可愛かったからです。
もし顔がやつれていたり、口元が昆虫みたいだったらきっと怖かったと思いますが、そういうことは一切なく、顔幅と瞳のバランスが絶妙でした。
しかししばらく見つめ合っている内に、私の中で耐えられなくなってきてしまったのです。
これはテレパシーではなく、被害妄想であってほしいのですが、何となく期待されていない感じがしたからです。
(なんかすみません……)
私は掛け布団をかけながら心の中でそう謝って、上半身を寝かせました。そして朝まで眠りました。
私が宇宙人に遭遇したお話はこれでお終いです。
お、お付き合いいただきありがとうございました。
このお話は眠っているところから始まるので、皆さんは普通に「夢だよそれ」と思うかもしれません。でも肌に感じる空気とか意識が夢とは違い、私の感覚からすると現実に起きた出来事だったような気がしてならないのです。
けれどもちろん冒頭で書かせていただいた通り、私は宇宙人についてロマンを抱いていた時期だったので、そういった記憶の整理を夢の中で行っていた可能性の方が高いでしょう。まともに考えてもそうですよね。
でもまぁ、自分に都合よく解釈した方がロマンがあっていいかなって思いまして。たぶん、義理チョコを本命だと信じて受け取っていた方が幸せ、みたいな感情に近いです。
ちなみに宇宙人は、ソファーに寄りかかりながら私の布団に伸ばした足を乗せていたのですけれど、体重は感じられませんでした。
トイプードルでさえも布団の上に乗ったら重みを感じるのに、宇宙人にはそれがなく、さらに浮きも潰れもしない体で座っているというのは、どういう力学でそうなるのだろうかと不思議です。
あっ、私が遭遇した宇宙人が本物という前提で書いてしまいました。恥ずかしい……。
でももし本物ならオカルト記事の内容のように、私が見たからあの可愛いフォルムだったかもしれなくて、皆さんが隣りで同じ宇宙人を見たとしても別の姿に変換していたかもしれません。そう考えると、とても面白いです。
って、すみません。記事の内容を書かないと何のことか分からないですよね。
とにかく、そんな体験をした……夢のお話でした!
次回で最後になります。
再び私が死に直面した時に起こった不思議なお話を書きますので、気になった
ここまでお付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
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