一秒
僕はあと三秒で死ぬ。
妙に整頓されている部屋の真ん中に、雑に倒された椅子。その真上には首にロープをかけてギシギシともがいている人間が一人。僕だ。
首が重力で圧迫されてとてつもなく苦しい。それにロープが首に躊躇無く入りこんできていて痛い。一秒一秒が重く苦しく長く感じる。
苦しい。痛い。苦しい。痛い。苦しい。痛い。こんなことをすでに二分間も続けているのだからそろそろ僕は死ぬだろう。
こんなことならば飛び降りにするべきだったんだ。あれならば一瞬で死ねたはずなのに。なんで僕はよりにもよってこんな辛い死に方を選んでしまったんだろう。時間が長く感じる。あと二秒。着々と意識がなくなってきた。刻々と死に近づいて行っているのがわかる。
あと一秒。僕は本当は生きたかったんだ。本当は今頃彼女でもできて幸せなまいにちを送っているはずだったんだ。だけれども現実が許してくれなかったのだから仕方ない。ならばせめて僕は天国に行きたい。
嗚呼神様、僕は天国には行けますでしょうか。生きたくても生きれない僕は天国に行けるでしょうか。なんて願った気がするんだ。
夏の温かい風が僕の下がる体温を確認させた。
白南風と三秒 佐藤凛 @satou_rin
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