私の小説の書き方

ガエイ

第一回 出だしの書き方

 閲覧数が少ない私が偉そうに解説する小説の書き方の第一回です。



 どのような小説も出だしが大事だと思っています。


 読者がこの小説はどんな小説であるのかを理解する第一歩となります。


 まず、最も意識しなければならないのが、小説は何も書かなければです。


 書いている筆者の頭の中に映像や光景があっても意味がありません。


 どこで、いつ、何があって、どういう人がいて――


 全てを書く必要はありませんが、そういったものを何も書かなければ、ただの真っ白な空間で、読者の頭の中に情景が描かれません。



 私はその点をどう書いているのか、実際に投稿している小説で例示してみます。

 ある美漢/恨み感#1の冒頭部分です。


◇ ◇ ◇


ある美漢/恨み感

https://kakuyomu.jp/works/16817330648080249845/episodes/16817330648086841705

#1 ある美漢 第1話


 僕、安藤雅彦は緊張していた。

 僕は今日、『とある美しい女性』に告白をするつもりだ。

 高校に入学してまだ三ヶ月だけど、登校途中にいつも同じ時間の電車に乗っているあの人。同じ高校の制服を着ていたから、その女性が同じ高校の人だとすぐにわかった。


◇ ◇ ◇


 この文章で「主人公の名前」「性別」「国」「時代」「年齢」「これから何をしようとしているか」などが概ね把握できると思います。


 もしかしたら、何となく恋愛小説であることも察することもできるかもしれません。

 そして、この要素は全てこの物語の最後まで必要な要素です。


 恐らく読者の方は、男子高校生の主人公が好きな人に告白して、そこから何かが起こっていく話なのだろうという事が、この三行で何となく理解してもらえるかと思います。



 もう一つ例示してみます。

 ある美漢/恨み感#2の冒頭部分です。


◇ ◇ ◇


ある美漢/恨み感

https://kakuyomu.jp/works/16817330648080249845/episodes/16817330648103273688

#2 恨み感 第1話


 暗い闇夜の空、多くの人々が眠る時間であっても、この世界のビルには多くの灯りが点いていた。

 暗闇に紛れて淡く光る東京タワーの外階段に赤い霧が現れた。

 数秒して霧が晴れると、そこには赤と黒のゴシックロリータの服を着た小柄な女性が階段に座っていた。

「――この並行世界でもまたここがスタート地点なのね……」


◇ ◇ ◇


 こちらの冒頭部分では「時間」「時代」「場所」「性別」「体型」「服装」が概ね把握できると思います。


 この場面で使用し、これ以降も用いる要素は「時代」「性別」「服装」の三点のみです。


 他の要素については、物語の情景を広げるだけにつかっているため、別に異なる要素であっても問題ありません。かっこいいから夜にしているだけです。


 この四行のうち、特に「東京タワー」と「並行世界」という二つの単語が同時に出ていることから、現代ファンタジーであることが読み取れるのではないでしょうか。


 あまりファンタジー以外で並行世界という単語は聞きませんからね。



 余談ですが、私はズルいので、すぐに東京タワーという便利なスポットを使ってしまいます。時代と場所が簡単に説明できるからです。


 また、異世界転生ものでよく見かける「中世ヨーロッパ風」とか「ギルド」とか「城塞都市」とかってのは、様々な作品によってテンプレート化されています。


 そのため、読者が簡単に頭の中に光景を思い描くことが出来るので、非常に便利な舞台装置だから多用されているのだと某氏が言っていました。なるほどなぁ。



 この舞台設定の説明ですが、やり過ぎると読む側がうんざりしてしまう場合があります。


 かといって少なすぎるとわかりませんし、この辺りのさじ加減は私も一生抱える課題だと思っています。


 私はどちらかというと説明が多すぎてしまうので、常に少なくするよう心がけています。



 こんな感じで第一回は終わりです。


 加筆するかもしれないし、第二回があるのかはわかりません。

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