第二回 世界設定について

 徒然なるままに今回は世界設定のお話です。


 みなさんはどうやって世界設定を説明や作成をしているのでしょうか。



 私は大きい一つの世界設定を持っています。

 そして、私の書く小説は全てその設定の上に乗って書き記されています。

 世界設定を共通して書いているわけですね。


 これの利点は新しく書き始めた作品であっても、最初から矛盾点の少ない重厚な世界観を出すことが出来ます。


 一方で、新しい作品であるにも関わらず、設定に足を引っ張られて書きたいものが書けないという欠点もあります。

 また、既存の設定をどこで説明するのか、不要な設定は説明しないという取捨選択が難しいという点もあります。


 私の作品での例を挙げてみます。


◇ ◇ ◇


【サイアイ -PSYI-】

https://kakuyomu.jp/works/16817330648039257647

第一章最終話にて世界観を一気に全て説明(全三十一話中八話目)


【ある美漢/恨み感】

https://kakuyomu.jp/works/16817330648080249845

偶数話にて少しずつ説明(全八十五話)


【未来からの贈り物】

https://kakuyomu.jp/works/16817330648666331680

説明なし


【金色の旅路】

https://kakuyomu.jp/works/16817330651333512682

概ね七話目程度までで小出しに説明(連載中五十話)


◇ ◇ ◇


 各作品で設定の出し方が全く違います。

 これにはもちろん意図があって行っています。



 まずサイアイについては、とあるキャラが第一章の最終話で情報を一気に全て説明することで、作中のキャラクターが理解出来ない状態に陥ります。

 これは読者にも作中のキャラを追体験してもらうことが狙いです。

 そして、その後の二章と三章で謎を解いていくという形になっています。

 欠点としてはわけのわからないことを急に言われて、クソ小説だと思われる点です。



 次にある美漢ですが、こちらは単純に話数が多いため、情報をかなり細かく小出しにしています。

 学校の授業もそうですが、一度に全てを教わるのではなく、時間をかけて少しずつ必要なタイミングで情報を提供していくというのが一番良い方法だと思います。

 欠点としては、次々に新しい要素が出てくるため、偶数話は設定だけを説明しているように感じるかもしれません。



 未来からの贈り物については、設定こそ共有していますが、世界観の設定は全く作中ではありません。

 しかし、他作品を読んでいれば、同一世界観だと匂わせる仕組みにしてあります。

 ある意味この形式が一番理想的かもしれません。



 金色の旅路については、物語の序盤の方で少しずつ小出しにしています。 

 こちらもある美漢と同様に、小出しにしてはいるものの序盤に説明が多くなってしまいます。

 よく捉えれば重厚な世界観が見えますが、読者は少し説明が多く感じるかもしれません。


◇ ◇ ◇


 世界観の説明の方法として手軽な方法として、のキャラクターを作ることがお手軽です。


 ファイナルファンタジーXをプレイされた方はわかりやすいかもしれませんが、主人公のティーダは異なる世界から転移してきました。

 そのため、その世界での常識がなにもわからず、自らを記憶喪失ということにして生活をすることにしていました。


 それによって、新しい情報が出てきた時に「◯◯ってどういうことなんだ?」と仲間に聞いて、プレイヤーと共に新しい情報を知るというが可能になっていました。


 これはどんな作品でも利用できる手段で、問いかけ役を作ることで、自然と世界設定の説明をすることが可能となります。

 ちょっとおバカなキャラが「◯◯ってどういうことー?」って聞くだけで解決しますね。



 問いかけ役を用いない方法としては、実際に一度体験するという手段もあります。


 それは条件を確立させ、それをキャラクターに複数回実行させることです。


 簡単に説明すると


「火を知らない人が火を触って熱いと感じる」

 という一度目の体験があります。

 すると

「もしかして火を触ると熱いのではないか?」

 という疑問が出てきます。

 そして

「再度火を触ったらやっぱり熱かった」

 という予想からの結論が導き出されます。


 この三回の手続きを踏むことで、一人であっても設定を確立させることが可能となります。

 現実世界ではそんな簡単に推測から結論を出すのは容易ではありませんが、フィクションの世界なのでこれくらいは許されるのではないでしょうか。


◇ ◇ ◇


 また、世界設定より重厚なものとする面白いやり方としては、特殊な単語をあたかも日常用語として用いるという手段もあります。

 まだ執筆途中のものですが、私の作品で次のようなセリフを用いています。



を検知! 精神感応波を検知! 警告! 警告! ここは進入禁止区域である! 如何なる理由があっても侵入を許さず! への退去を命じる!』

『コールドスリープした人類の代わりに、我々のようなと戦っております』



 ここで傍点を打った単語は作中で初出の単語で、敢えてわけのわからない単語を多数列挙しています。もちろん、この時点では全く説明がされていません。

 新たな土地に訪れた主人公達が、行った先で当然のように使われている現地の言葉を解読しながら世界設定を読み取るという手段です。


 我々日本人が全く縁のない海外へ行った時に、行った先で困惑するのと同様です。

 しかし、その土地にはその土地で当然のように行われている文化があります。

 敢えて主人公たちにとってわけのわからない単語を列挙するというのも、また一つ世界観を重厚にする一つの手段かと思います。



 といったところで第二回はおわりです。

 加筆するかもしれないですし、第三回があるかもわかりません。

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