最終回 アンテナを上に向けて
「ねえニカイドウ」
「はい?どうしました?」
「例えばだけどさ、この世界が誰かの創作だったらどうする?」
「今回のSCP相当厄介なタイプってことですか?」
「ははは!まあいいから どうする?」
「んー 諦めて知らないふりしますかねぇ」
「そうだねぇ・・・」
他愛ない会話をしながらニカイドウは今回のSCPは何なのかともやもやしていた。
だが、この質問の意図は全く分からなかった。
確実に何かあるとは分かっているが、あまりに今までの物と規格外すぎて分からない。
「今日はねぇ・・・ちょっと賭け これでダメだったらこの世は終わり」
「へ・・・?」
「私たちの世界が負けるか否かはこの財団に掛かってるよね?」
「ま、まあ でも戦争とかもありますし」
「まあそうだね でも今日やる事に危険性は無い というか危険性が及んだと認識できるものでもないし、全てがめちゃくちゃなの」
「全く理解ができませんが・・・?」
「そうだろうね まあ美味しくご飯食べな」
まあいいかとご飯をいつも以上に食べるニカイドウ。
ご飯を食べ終え廊下でべらべらと喋る2人。
だが、いまだにSCPの話は出ていない。
「ニカイドウ教えておくよ この世界にはいろんな終わりがあるんだ」
「今日なんか変ですよ?」
「まあ聞いてよ でね?今その終わりの一つが明日か明後日ぐらいにきちゃうの」
「へ?」
「鎖で封じられた扉の鎖が音を立てて壊れる寸前なの 笑えるでしょ?鎖が6本あるはずなのに後一本だけ しかも切れかけ」
「鎖で補修・・・まあSCPがそんな簡単に治らないか・・・」
「そう だからね 今日はお願いに行くの」
「お願いって・・・霊感っていうんですか?ああいうの俺ないですよ」
「大丈夫 今も上の人が見てくれているならきっと届く」
「もう理解ができないので、今日はトウマさんに全てたくします」
「今日はそうして と言っても簡単な指示だよ」
「と言うと・・・?」
「お願いするの 鎖を治してくださいって」
「誰に・・・?」
「上の世界の人」
「上の世界・・・?」
「そう 上の世界の良い人にね」
「はぁ・・・」
全く理解できないまま、鍵が厳重にかけられた部屋に行く。
「ここ 責任者達はここのカメラから見ているよ」
「・・・が、頑張りますけどねぇ」
「あのもう一個奥の部屋に行けば分かる」
「はい」
いつも通り気合を入れて部屋に入る。
●REC
4/17 12:00-
被験者:ニカイドウ トウマ
「何もな・・・人?なんで?上にぼんやり見える」
「そう あれが上の世界の人たち 私が先にお願いするからニカイドウはとりあえず見てて」
トウマが聖女のように構え祈りながら言葉を発していく。
「どうかお願いします この世界を守ってください 801を殺し鎖を元に戻してください これを見ているあなたならきっと出来る 世界を救ってくださるのはこれを見ているあなただけなんです」
「どうかこの世界を負けさせないで あなたしかいない」
ニカイドウも祈るような動作に入り言葉を紡いでいく。
「あなたしかいない どうかこの世界が終わらない様に物語を紡いでください お願いします あなただけがこの世界を守るヒーローなんです 助けてください」
記録終了
SCP財団管理局職員記録日誌 マターリマターリ @wantyan222
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