if ユイカルート

 ──2年生、新学期


 私には好きな人がいる。2年の同じクラスの如月ミナト。


 向こうは覚えているかはしらないが、一年の時、ナンパされて困ってる時に助けてくれて、そこから意識しだした。


 だから2年生で同じクラスになった時は、天にも昇る心地だった。


 ──だけど。こ、声がかけられない。い、意識してしまってどうしても……。


「ユイカ、どうしたんですか?」


 親友のアリサが話しかけてきた。


「う、うん。あのね……」


 アタシは正直にアリサに話した。なぜか話さないと一生後悔すると感じたのだ。


「へー! 如月きさらぎくんが好きなんですね! なら、アタックしましょう! でないと、誰かさんに取られてしまいます!」

「で、でも勇気が……」

「私が声かけてきますね! 如月くーん!」

「ちょっとアリサ!?」





 そして放課後に近所の公園で待ち合わせすることになったのだ。


「どうしたの? 救世ぐぜさん?」

「えっと……あの……そのぉ……」

「?」


 やばい……心臓がドキドキして……上手く言葉が……。


「(ユイカ、ファイトです!)」


 公園の陰からアリサが見守っている。勇気が出た。アタシは意を決して、告白する。


「ミナト君のことが好きです! 付き合って下さい!」


 言い切った。目を閉じる。ドキドキする。断られたと思うと心臓が破裂しそうだ。


 トントンと肩が叩かれる。恐る恐る目を開くとミナトが恥ずかしそうに笑っていた。


「俺でよかったら、ぜひ」

「!」

「やりましたね! ユイカ!」


 アリサはが思わず陰から飛び出してきた。


「さ、早乙女さん!?」

「おめでとうございます! 2人に幸あれ!」

「あ、ありがとう、アリサ。アンタのおかげよ」


 そこでキュルルとアタシのお腹が鳴った。


「あっ……///」


 一気に顔が真っ赤になる。付き合ってそうそう、何をしてるんだアタシ! 幻滅させちゃうわ……。


「お腹空いてるの? ユイカさん。ははっ、よかったらうちで食べてく?」

「い、いいの?」

「私もお腹が空きました!」

「うん、早乙女さんもよかったら、来てよ」

「わーい!」


 そこで2人でミナトの料理を堪能する。


「すごく美味しい!」

「たまらないですね!」

「2人とも普段、料理とかしないの?」

「うっ、出来ないわね……」

「はい、からきしです……」

「栄養状態大丈夫? 材料費さえ出してくれれば、ウチで作るけど?」

「いいの?」

「ユイカさんは遠慮しなくてもいいよ。だって、俺たち……恋人だろ?」

「う、うっ……そうね……」

「私もお願いしていいですか!?」

「ははっ、ぜひ」

「やりました!」


 2人でミナトの料理を食べることになった。これからどうなっていくんだろう。


 不安でたまらない。アタシ、ちょっとキツイ性格のとこあるから……。おしとややかにいこう。そう心に誓ったのだった。





「ねぇ、ミナトぉ〜、あたまなでなでして〜♡」

「はいはい……」


 アタシはすっかり甘えん坊になってしまった。だって、ミナト優しいんだもん! 好き! 大好き!


 今はひざまくらしてもらって、頭をなでてもらっている。これが最高に幸せなのだ。


「ねぇ〜、チュウも〜!」

「ユイカは甘えん坊だな……」

「えへへ、ミナト大好き〜!」


 ミナトは優しくキスをする。でもアタシはそんなんじゃ物足りないから、もっと求める。


「ん……ちゅ……ちゅる……ぷはっ」

「ユイカはキス大好きだな」

「うん♡ ずっとミナトとこうしてたいわ!」

「ふふっ、甘えん坊のユイカもかわいいよ」

「ミナトぉ……好きぃ」


 今更ながら、アタシのツンデレというキャラは木っ端微塵こっぱみじんに崩壊していた。


「ねぇ、明日の晩御飯は〜?」

「ユイカの好きな目玉焼きハンバーグだよ」

「やった〜! アタシも出来るだけ手伝うわ! アリサも好物だから喜ぶわよー!」

「そうだね!」

「ミナト、アリサに浮気しないよね?」


 急に不安になる。アリサはとってもかわいい女の子だから。


 ミナトは優しくアタシにキスをする。


「俺はユイカだけが大好きだよ」

「う、うん! えへへ」


 アタシの杞憂が吹っ飛とんだ。


 今のアタシは最高に幸せだ。あの時に告白して本当によかった。


 もし、あの時に勇気を出さなかったら全く、違う人生を歩んでいたかもしれない。


 白馬の王子様を待つだけではなく、自らの手を伸ばす、ほんのちょっぴりの勇気。


「ねぇ、今度、遊園地に行きましょうよ!」

「うん、いいね!」


 そんな勇気を持ってこれからも、アタシは生きていきたい。そう、彼と手を携えながら。



《完結》


 

 


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学園1の美少女が実は生活力0でした!〜お世話をしている内に「もうアナタなしでは生きていけません」と言われた件〜 腹ペコ侍 @koba5000

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