第5話 手

 今日も夢を見た。夢で元彼に会って、手を繋いで、あの頃のように見つめ合って、


くだらないことで笑い合った。幸せだった。


 目が覚めた。今日も胸が苦しい。彼のことが、あの日々が、忘れらない。


だけど、手を離した彼はもう戻ってこない。



 新しい彼は、何度も私の手を繋ぐ。デートをしているときも、セックスするときも


見つめ合うときも、ずっとずっと、手を繋ぐ。大きな手で包み込んでくれる。



 お願いだから、その手を離さないで。私が彼のことを想って泣いてるときも、


彼に連絡してしまうときも、罪悪感であなたの胸で泣いてしまうときも。


その手がないと、支えるものがないから。もう、倒れてしまいそうだから。

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