第13話 眩しいんだ
「私、今日から新しい人生を生きるの。
それなのに今日は太陽が出てる。
こんな日に晴れてほしくなかった。
せめて雲があればいいのに。」
と雪が言った。
俺はどんな言葉で彼女を繋ぎ止められるのか
答えが分からなかった。
そしてこんな時に
気の利いた言葉が一言も出てこないような、
そんなつまらない人生を送ってきた自分に
やけに腹が立った。
「私...
この場所を離れて
新しい場所に行って、
運命の恋をするの。
そして、いつの日か自分を許してあげたい。」
「俺は...
今の場所で....。」
言いかけた時
あいつが急に部屋に入ってきて
「それじゃ搬出終わったんで
中確認して頂いて良いですか?」
と遮るように言い、
慌てて彼女は外に駆け出した。
俺はあいつの無神経なタイミングに
睨みつけると
「じゃ、あとはお前が引越し先に
俺はゴミの搬出するわ
しょうがない、親友の門出だ」
とあいつがニヤニヤしながら言った。
「バカ言うな。」
今度は俺の方がニヤニヤしていると
真剣な顔で
「この場所で始めるなよ
彼女、新しい場所でって言ったろ?
....。
空が仕事の次にしたい事って
本当の恋だろ?」
こいつには、敵わない。
いつだって、俺を俺以上にわかってくれる。
きっと前世では俺ら夫婦だったんだと思う。
「お前、こんな綺麗な人
....
振られてもなくなよ?
だってしたいのは恋なんだから。
失恋でも、お前のやりたい事が
できたって訳だ
あ...訳あり女って、
想像以上に地雷多いぞ」
こいつはどんな恋をしてきたのか
俺はよく知らないけど
今度酒を飲みながら聞いてやって良いぞ
そんなふうに思っていると
彼女が
「大丈夫です。
もう出発して」
と遠くから言った。
外に出ると
空が眩しく光っていた。
それは彼女が笑顔だったから。
空が青くなかったら @yukikiyou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。空が青くなかったらの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます